中国・上海市のロックダウン(都市封鎖)が続くなか、自動車産業のサプライチェーンに対する影響が拡大している。
「上海および周辺の部品サプライヤーが操業を再開できない場合、5月には中国のすべての自動車工場が生産停止に追い込まれるかもしれない」。新興EV(電気自動車)メーカー、小鵬汽車(シャオペン)の創業トップの何小鵬氏は4月14日、SNS(社交サイト)上でそう発言し、強い危機感をにじませた。
翌4月15日には、中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)でコンシューマー向け事業と自動車関連事業のトップを兼務する余承東氏が、同じくSNS上で次のように警鐘を鳴らした。
「仮に上海の現状(ロックダウン)が長引けば、サプライチェーンに連なるハイテク企業や製造業の事業活動が5月から全面ストップする可能性がある。それによる経済的損失は非常に大きいだろう」
自動車産業はサプライチェーンの裾野が広く、部品在庫が少ない(ジャストインタイム生産が普及している)ことから、不測の事態が発生すると影響が一気に広がりやすい。 上海市では、アメリカのEV大手のテスラが現地工場の操業を3月28日から停止。4月1日には、ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の合弁会社でも主力工場の1つが生産を停止した。
(訳注:テスラの上海工場は4月19日に操業を再開したが、フル生産への復帰には時間がかかるとみられている)
操業停止が操業停止を呼ぶ悪循環
新型コロナウイルスの流行再拡大に伴うロックダウンは、上海市だけではなく隣の江蘇省や、中国東北部の吉林省などでも実施されている。安徽省に主力工場を構える新興EVメーカーの蔚来汽車(NIO)は4月9日、上述の地域にある部品サプライヤーで操業停止が相次ぎ、部品の供給再開の見通しが立たないことから、完成車の組み立てを停止したと明らかにした。
4月13日には河北省の中堅自動車メーカーの長城汽車が、同社製のSUV「担克300」の生産が一時停止を余儀なくされ、顧客への納車が遅れると発表した。その理由は蔚来汽車と同じく、上海市、江蘇省、吉林省などの部品サプライヤーの操業がストップしたためだ。
打撃を受けているのはロックダウン下の地域や、そこから部品を調達しているメーカーだけではない。ドイツのタイヤ大手、コンチネンタルの安徽省の工場では、販売先の完成車メーカーで操業停止や減産が相次ぎ、タイヤの受注が減少している。財新記者の取材に応じた工場の関係者は、厳しい実態をこう打ち明けた。
「会社から(減産のため)4月に4日間の臨時休業を実施すると通知があった。4月のタイヤ出荷量は昨年の4割に落ち込みそうだ」
(財新記者:張而弛、余聡)
※原文の配信は4月15日
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