中国コロナ再流行で「冷蔵庫・冷凍庫」が爆売れ ロックダウンに備えて食品の備蓄需要高まる

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中国市場で冷蔵庫・冷凍庫が最も売れるのは夏季であり、この時期の販売増加は異例だ。写真は海信集団の「容声(ロンシェン)」ブランドの冷蔵庫(同社ウェブサイトより)

中国で、家庭用の冷蔵庫や冷凍庫が季節外れの販売急増を見せている。2022年3月から新型コロナウイルスの局地的流行が中国各地で拡大するなか、市民の間で(外出禁止措置に備えた)食品の備蓄ニーズが高まったことが背景と見られている。

総合家電大手の海信集団(ハイセンス)によれば、冷蔵庫・冷凍庫の販売増加は上海市や広東省深圳市など、防疫対策のためにロックダウン(都市封鎖)が実施された地域で顕著だという。

家電製品のネット通販大手の蘇寧易購は、財新記者の取材に対して「3月以降の冷蔵庫の販売台数は前年同期比44%増加した」と明らかにした。販売が増えた上位5都市は北京市、四川省成都市、江蘇省南京市、重慶市、陝西省西安市だった。

例年なら、冷蔵庫・冷凍庫が1年で最も売れるのは夏季である。そのほかの時期はネット通販大手の大規模セールで一時的に販売が伸びるくらいであり、この時期の販売増加は異例と言える。

家電業界全体の景気は低迷

「新型コロナの流行再拡大で、これまで(外食主体で)自炊をしていなかった人々の多くが食品備蓄の重要性に目覚めた。彼らのニーズが冷蔵庫・冷凍庫の販売を押し上げている」。家電業界の関係者の多くが、現状をそう分析している。

そんななか海信集団の関係者は、足元の販売増加は一時的で長続きしないとの見方を示したうえで、「これをきっかけに大容量の冷蔵庫や殺菌・鮮度保持機能への消費者の関心が高まり、製品の買い替えサイクルが早まるかもしれない」と期待を示した。

本記事は「財新」の提供記事です

冷蔵庫・冷凍庫以外を含めた家電市場全体を見渡すと、新型コロナの再流行は消費者の購買意欲を減退させ、業界に景気低迷をもたらしている。

調査会社の奥維雲網のデータによれば、2021年の中国家電市場の規模は7603億元(約14兆9664億円)と、前年比3.6%拡大した。だがこれは、2020年の家電販売が年前半に発生した新型コロナの最初の流行で打撃を受けたことによる、見かけ上の成長だ。その前の2019年と比較すると、2021年の家電市場は7.4%縮小している。

(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は4月14日

財新 Biz&Tech

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