中国の上海市では、新型コロナウイルスの流行を抑え込むためのロックダウン(都市封鎖)が3月末から続く。その影響により、上海市や隣接する江蘇省昆山市に進出している台湾系電子機器メーカーの工場が、次々に操業停止に追い込まれている。
これらの台湾系メーカーは、アメリカのアップルに代表される多数のグローバル企業から電子機器や部品の生産を請け負っている。それだけに、操業停止の打撃は世界の広範囲に及びそうだ。
台湾のEMS(電子機器の受託製造サービス)大手の広達電脳(クアンタ)は4月13日、上海市松江区の工場が新型コロナの影響により操業を停止したと発表した。中国の天風国際証券の調査レポートによれば、クアンタはアップルのノート型パソコン「MacBook」の生産の大半を請け負っている模様だ。
多数の台湾企業が進出していることで有名な昆山市では、4月6日から7日間のロックダウンが実施された。その後、4月13日から区域ごとの感染リスクに応じた3段階の行動制限に移行したが、電子機器メーカーが集中する昆山経済技術開発区は全体が(最も厳しい)外出禁止区域のままだ。
操業再開は5月初旬との見方も
そんななか、業界に衝撃を与えたのが和碩聯合科技(ペガトロン)の4月12日の発表だ。アップルのスマートフォン「iPhone」の生産を請け負う台湾系EMSの1つである同社は、昆山と上海の工場がすでに操業を停止し、「地元政府と協議して早期の操業再開を目指している」と明らかにした。
翌13日付の昆山市政府の通知によれば、ペガトロンの工場は(人の出入りができない)閉鎖管理区域のリストに入っている。この措置は4月19日の24時が期限とされているが、延長の可能性が否定できない。
前出の天風国際証券のレポートは、ペガトロンの操業再開は早くても4月末~5月初旬になると見る。そのためアップルは、iPhoneの生産の一部を別の生産委託先である富士康科技集団(フォックスコン)に急遽振り替える対応を迫られると予想している。
(訳注:フォックスコンは台湾のEMS最大手、鴻海精密工業[ホンハイ]の中国本土の中核子会社。iPhoneの最大の受託生産会社であり、河南省鄭州市などの工場で組み立てを行っている)
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は4月13日
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