中国で「ナトリウムイオン電池」に注目集まる訳 ファーウェイ系ファンドが開発企業に資本参加

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中科海鈉科技は中国の国策研究機関の出身者が中心になり創業した(写真は同社ウェブサイトより)

ナトリウムイオン電池の開発・製造を手がける中国の中科海鈉科技(ハイナ・バッテリー)は3月31日、投資会社の哈勃科技投資(ハッブル・テクノロジー・インベストメント)が同社に資本参加し、発行済株式の13.33%を保有する第3位株主になったと発表した。

哈勃科技投資は中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の傘下のハイテク投資ファンドとして知られる。今回の投資は、ナトリウムイオン電池の将来に対するファーウェイの高い期待を反映している。

中科海鈉科技は2017年、(国策研究機関の)中国科学院物理研究所の出身者が中心になって設立された。同社の董事長(会長に相当)を務める胡勇勝氏は、物理研究所の研究員(教授に相当)を兼務している。

ナトリウムイオン電池は、目下主流のリチウムイオン電池と基本的に同様の原理で動作する。電池の主要部分が正極、負極、電解液、セパレーターの4つで成り立っている点も同じだ。しかし商業ベースでの実用化と普及に関しては、リチウムイオン電池が大幅に先行していた。

目下の課題はスケールメリット

だが近年、電気自動車(EV)の販売急増に伴ってリチウムイオン電池の需給が逼迫し、主原料のリチウムの価格が急騰。EVメーカーが電池の調達コストを抑えるために代替品を探し始めたことから、ナトリウムイオン電池に再び注目が集まり始めた。ナトリウムはリチウムより資源量が豊富で、地球上に偏りなく分布している。

中国の車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は2021年7月、同社初のナトリウムイオン電池を発表。そのエネルギー密度は1キログラム当たり160Wh(ワット時)と、リン酸鉄系のリチウムイオン電池に迫る水準だ。CATLはさらに次世代のナトリウムイオン電池で、1キログラム当たり200Whの実現を目指している。

本記事は「財新」の提供記事です

ファーウェイ系ファンドの出資を受けた中科海鈉科技も、すでに実用化の段階に入っている。同社は2021年12月、年間生産能力5GWh(ギガワット時)のナトリウムイオン電池工場を建設すると発表。第1段階の年間生産能力1GWhの生産ラインは、2022年中に稼働する予定だ。

「ナトリウムイオン電池の目下の課題は、生産のスケールメリットでリチウムイオン電池に敵わないことだ。しかし生産規模が年間10GWhに達すれば、コストは同等になると見ている。2025年までにそれを達成したい」。財新記者の取材に応じた董事長の胡氏は、そう意気込みを語った。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は4月2日

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