中国のインターネット検索最大手、百度(バイドゥ)の業績が伸び悩んでいる。同社が5月26日に発表した2022年1~3月期の決算報告によれば、同四半期の売上高は284億1100万元(約5424億円)と、前年同期比わずか1%の増加にとどまった。また、純損益は前年同期の256億5300万元(約4898億円)の黒字から8億8500万元(約169億円)の赤字に転落した。
純損益が赤字に陥った主因は、投資先企業の評価額見直しに伴う減損だ。1~3月期の損益計算書には、投資損益を含む「その他損益」の項目に29億6100万元(約565億円)の損失が計上された。
ちなみに2021年1~3月期の同じ項目には、238億元(約4544億円)もの巨額の利益が計上されていた。これは百度の出資先である中国のショート動画アプリ大手、快手科技(クワイショウ・テクノロジー)が同年2月に香港証券取引所に上場し、保有株の評価額が急上昇したためだ。
ところが、その後の1年余りで資本市場を取り巻く環境は激変した。中国政府が大手ネット企業に対する管理監督を強化したことや、中国景気の全体的な減速、新型コロナウイルスの再流行などが重なり、ネット関連銘柄の株価が大きく下落。百度はその直撃を受けた格好だ。
「4~6月期はさらに厳しい」
事業分野別に見ると、2022年1~3月期のネット広告事業の売上高は157億元(約2997億円)にとどまり、前年同期比4%減少した。ネット広告は百度の総売上高の55%を占める基幹事業だが、前年同期比の伸び率がマイナスになったのは、新型コロナが中国で最初に流行した2020年1~3月期以来のことだ。
一方、2022年1~3月期の非広告収入は57億元(約1088億円)と前年同期比35%増加した。とはいえ、2021年10~12月期まで同60~80%の伸び率を記録していたのと比べれば、減速感が否めない。
「AI(人工知能)クラウド事業の1~3月期の売上高は前年同期比45%増の39億元(約745億円)に達し、非広告収入の7割近くを占めた。わが社の(将来に向けた)成長を牽引する重要なエンジンだ」。百度のCFO(最高財務責任者)を務める羅戎氏は、決算説明会でそう強調した。
また、2022年4~6月期の展望について、羅氏は次のような見方を示した。
「直近の新型コロナ(のオミクロン変異株)の流行は、それ以前とは様相が異なる。北京や上海を含む多数の都市(の社会・経済活動)に影響を及ぼす状況が、2カ月を超えて続いている。百度だけでなくネット業界全体にとって、4~6月期のビジネスはさらに厳しいものになるだろう」
(財新記者:杜知航)
※原文の配信は5月26日
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