中国の不動産市況が再び悪化に転じている。中国国家統計局が5月18日に発表した2022年4月の国内70都市の住宅販売状況によれば、住宅の平均販売価格が下落した都市の数が3月より増加した。
不動産専門シンクタンクの易居房地産研究院が国家統計局のデータを基に計算したところ、4月の新築住宅の平均販売価格は前年同月比0.1%のマイナスとなった。新築住宅価格が前年同月より値下がりしたのは2015年12月以来、実に6年半ぶりのことだ。
不動産大手の恒大集団(エバーグランデ)の経営危機などをきっかけに、中国の不動産市況は2021年10月から同年末にかけて急速に悪化した。だが、2022年1月には底打ちの兆しが現れ、1~3月期の市況はある程度安定的に推移していた。
ところが4月に入ると、不動産市場への逆風が再び強まり始めた。中国各地で新型コロナウイルスの感染が再拡大し、人の移動を厳しく制限する防疫措置が敷かれためだ。
地方政府の規制緩和の効果見えず
「防疫措置の影響で、住宅の対面販売はほぼストップした。顧客も(心理的に)平時より慎重になっており、成約件数が大幅に減少している。新型コロナの感染状況が落ち着かないと、市況の回復は極めて困難だろう」。不動産仲介大手の中原地産の首席アナリストを務める張大偉氏は、そう予想する。
2022年3月以降、河南省鄭州市や雲南省昆明市など多数の都市で、地元政府が(低迷する不動産市場をテコ入れするための)住宅取得規制の緩和を打ち出してきた。だが統計データからは、その効果はまだ見えてこない。
不動産市場のテコ入れに動く都市は、今後さらに増加する見通しだ。4月29日に開催された中国共産党中央政治局会議は、「各地の実情に基づいた不動産政策の調整を支持する」と強調した。
これを受けて海南省海口市、四川省成都市、浙江省杭州市の3都市が、5月15日から17日にかけて相次いで住宅取得規制の緩和を発表した。
(財新記者:牛牧江曲)
※原文の配信は5月18日
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