中国・上海市のロックダウン(都市封鎖)の解除とともに、世界最大級の国際コンテナ港である上海港の運営正常化が加速している。イギリスの海運情報会社ベッセルズバリューのデータによれば、上海港に入港するコンテナ船の接岸までの平均待ち時間は6月1日時点で31時間と、4月下旬のピーク時の69時間から半分未満に短縮された。
とはいえ平時の待ち時間と比べれば、31時間はまだ長い。1年前の待ち時間は平均18時間だった。また、同じ時期の過去3年間の最長待ち時間と比べても、なお4時間長いのが実情だ。
「この程度の待ち時間なら許容範囲だ。ロックダウン解除後の輸出貨物の送り出しは、軽い渋滞と言えるレベルまで改善した」。財新記者の取材に応じたある貨物輸送代理業者は、現状についてそう述べた。
「上海港のコンテナ埠頭の荷さばきは、すでにおおむね正常化した」。海運世界最大手でデンマークに本社を置くA.P. モラー・マースクの担当者は、財新記者の取材にそうコメントした。輸出用の空きコンテナの引き取りと積み込み済みコンテナの搬入は平時の75~80%程度、輸入コンテナの引き取りは平時に近い水準まで回復しているという。
陸上輸送能力の引き上げが課題
とはいえ、上海港を経由する国際物流の全体的な正常化には、まだ課題も残っている。「上海港そのものの荷さばき能力は、現時点でも貨物の増加に対応できる。今後の課題は(港に出入りする)陸上輸送能力および付随する物流機能の正常化だ」。上海の港湾運営に詳しい関係者はそう指摘し、次のように続けた。
「ロックダウン実施中に貨物輸送の停滞を招いた最大の要因は、陸上輸送能力の縮小にあった。コンテナを牽引するトレーラーとその運転手が(厳しい交通規制や外出制限のために)不足したからだ。上海港そのものは(港湾地区全体を隔離する)閉鎖管理方式をとり、ロックダウン中も運営を維持していた」
前出の貨物輸送代理業者によれば、陸上輸送の状況も改善しつつある。「ロックダウン解除後はトレーラーの通行許可証が取得しやすくなり、ドライバーもPCR検査の陰性証明があれば勤務に就けるようになった。貨物輸送量は今後急速に回復するだろう」と、この業者は予想する。
(財新記者:趙煊)
※原文の配信は6月2日
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