中国最大規模のコンテナ港である洋山深水港が、さらなる拡張に向けて動き出した。上海市政府と浙江省政府は6月15日午後、同港の「小洋山北作業区」の共同開発に関する枠組み合意書に調印。2022年内の早期着工を目指している。
小洋山北作業区の環境アセスメント報告書によれば、同作業区では主にコンテナ物流の(長江などを利用した)河川輸送と海上輸送の連携や、沿海支線航路と近距離国際航路のコンテナ積み替えなどを担う計画だ。
洋山深水港は天然の良港であり、2002年から2017年にかけて段階的に建設が進められてきた。行政区画としては浙江省舟山市嵊泗県に属するが、港湾業務上は上海港の管轄下にあり、(上海市政府系の)国有港湾サービス会社の上海国際港務集団が運営している。
上海港は洋山深水港を含む複数の港湾の集合体であり、2021年のコンテナ取扱量は4703万3000万TEU(20フィートコンテナ換算)に上る。そのうち洋山深水港は2281万3000TEUと、全体の半分近くを占めている。
インフラ建設加速で景気下支え
小洋山北作業区の建設では、上海市と浙江省の協力関係が一層強化される。浙江省交通運輸庁の資料によれば、プロジェクトの総投資額は200億元(約4005億円)を超える見通しだ。事業主体となる盛東国際集装箱碼頭は上海国際港務集団が8割を出資する子会社だが、残り2割を(浙江省政府系の)浙江省海港集団が出資している。
中国ではここにきて景気減速が鮮明になってきており、中国政府は(港湾や鉄道などの)インフラ建設の全面的な強化を通じて、経済の安定維持を図ろうとしている。小洋山北作業区の建設はその一環にほかならない。
「交通インフラと先進的な物流システムの建設を適度に加速・強化しなければならない。一連のプロジェクトの早期着工や、認可手続きの効率化、長期低利融資による支援拡大をしっかりやっていく」。中国の李克強首相は6月6日、交通運輸省を視察した際にそう強調した。
(財新記者:趙煊)
※原文の配信は6月16日
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