中国の新興EV(電気自動車)メーカーの阿維塔科技(アバター・テクノロジー)は6月25日、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と業務提携契約を結んだと発表した。双方が持つ経営リソースの投入やファーウェイの自動車関連技術のライセンスなどについて合意したほか、アバターのEVをファーウェイの直営販売店で売ることも検討している。
アバターは国有中堅自動車メーカーの長安汽車が、ファーウェイおよび車載電池大手の寧徳時代(CATL)と共同で2020年11月に立ち上げたブランドだ。2021年5月に長安汽車の子会社を社名変更して法人化され、現時点では筆頭株主の長安汽車が発行済株式の39.02%、CATLを中心とする投資家連合が同28.99%を保有している(訳注:ファーウェイはアバターに出資していない)。
同社は初の量産モデル「アバター11」を2022年8月に発売する。さらに、2025年までに4車種の新型車を投入し、そのすべてにファーウェイのスマートEV向けソリューションをフルセットで搭載する計画だ。これは、アバター製の全モデルにファーウェイの「HI」のロゴマークが付くことを意味する。
「クルマの製造には参入しない」と再度強調
HIは「Huawei Inside(ファーウェイ・インサイド)」の略称だ。ファーウェイは自動車メーカーとの協業で2種類の関わり方を使い分けている。1つ目は、部品やソリューションを販売するサプライヤーとしての関係。2つ目はスマートEVの共同開発に踏み込み、販売収益の配分も受け取る、より深い関わりだ。そのうち後者で開発されたクルマにのみ、車両後部に「HI」のバッヂが取り付けられる。
ファーウェイはこれまでに、3社の自動車メーカーとHI方式の協業を進めてきた。長安汽車以外の2社は国有大手の北京汽車集団傘下の北汽藍谷新能源科技と、同じく国有大手の広州汽車集団だ。共同開発車のお披露目で先陣を切ったのは北汽藍谷で、2021年4月に「アークフォックス アルファーS HIバージョン」を発表。すでに量産を開始しており、2022年7月から納車が始まる予定だ。
なおアバターとの業務提携締結にあたり、ファーウェイの輪番董事長(会長に相当)を務める徐直軍氏は、「わが社はクルマの製造には参入しない」と改めて強調。そのうえで、HI方式の意義を次のように補足説明した。
「スマートEVに搭載されるソフトウェアは絶えずアップデートが必要であり、部品サプライヤーと完成車メーカーの伝統的な取引関係ではそれに対応できない。その点、HI方式ならファーウェイと自動車メーカーが共同でリスクを負担し、共同で収益をシェアすることができる」
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は6月25日
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