中国では春先から始まった新型コロナウイルスの感染拡大がほぼ落ち着き、厳格な防疫対策が各地で緩和された。それに伴い、サービス業の景況感が急回復を見せている。
7月5日に発表された6月の財新中国サービス業経営活動指数(サービス業PMI)は54.5と、前月(41.4)より13.1ポイント上昇。好不況の目安とされる50を4カ月ぶりに上回り、2021年8月以降の最高値を記録した。
サービス業の6月の事業活動は、供給側と需要側の双方に明るさが戻った。供給側の動向を示す経営活動指数と需要側の動向を示す新規受注指数は、拡大基調と縮小基調のボーダーラインをそろって上回り、特に供給側の回復が顕著だった。
調査対象企業からは、「防疫対策の緩和とともに客足とサービス消費が戻ったことが、売り上げ回復を牽引した」との声が数多く寄せられた。その一方、「新型コロナの影響はまだ払拭されておらず、新規受注の増加には至っていない」との声も聞かれた。
新型コロナ再流行への不安残る
景況感の大幅な改善にもかかわらず、サービス業の雇用は引き続き厳しい状況にある。企業は人件費抑制のための人員カットを続けており、サービス業の6月の雇用指数は前月比ではわずかに上昇したものの、6カ月連続でボーダーラインを割り込んだ。
なお、サービス企業の経営者の向こう12カ月間の楽観度を示す指数は、6月は前月と同水準にとどまり、目立った改善は見られなかった。経営者の多くが、将来の新型コロナの再流行に強い不安を抱いていることの反映とみられる。
「経済活動再開の恩恵はまず供給側に表れ、需要側への波及には時間を要する。雇用の改善はさらに遅れるだろう。ポスト・コロナの景気回復基調に変化はないが、足元は盤石とは言いがたい」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は7月5日
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