中国では今春から新型コロナウイルスの感染拡大が各地で多発した影響により、経済の下振れ圧力が高まり、雇用情勢が悪化している。なかでも深刻なのが若者の失業増加だ。最新の統計によれば、16~24歳の失業率は2022年4月に過去最悪の18.2%を記録し、社会的な関心を集めている。
雇用問題の専門家によれば、中国の目下の労働市場は(需要側と供給側の間に)構造的矛盾を抱えており、それを新型コロナの影響がさらに際立たせている。また、大学新卒者の就職難は広く認識されているが、実際には青年農民工(訳注:農村から都会に出て就職する若い出稼ぎ労働者)も厳しい構造問題に直面しているという。
中国社会科学院の財経戦略研究院は6月11日、経済と雇用の問題に関するフォーラムを開催。その席で、同院の人口・労働経済研究所の張車偉所長は、過去2年余りの新型コロナの(経済に対する)打撃を受けて中国が新たな「就職氷河期」に突入したとの見方を示した。
青年農民工の就職難も深刻
「中国の雇用情勢が過去最も冷え込んだのは、国有企業改革(に伴う大規模なリストラ)が実施された1999年から2000年にかけてだった。当時の問題は雇用の総量であり、有効な就業機会をいかに作り出すかが課題となっていた。しかし現在の問題は構造的矛盾にあり、単純な方法では解決できない」(張所長)
張所長によれば、直近の労働市場の求人数を求職数で割った「求人倍率」は2倍に近づいており、2022年初め時点の1.8倍を上回っている。計算上は1人の求職者に対して2人分の求人があるにもかかわらず、若者の失業率が過去最悪を記録した背景には、求人側と求職側のニーズがマッチせず、実際の雇用につながっていない状況がある。労働力市場の構造的矛盾とは、このミスマッチにほかならない。
大学新卒者は賃金や職種などの希望が高く、求人側とのミスマッチが以前から指摘されていた。それに比べて青年農民工のミスマッチは見過ごされてきたが、現実の厳しさは大卒者を上回る。
と言うのも、青年農民工の職能レベルは現在も一般的な工場労働者の水準にとどまっている。これに対し、求人側はより知識集約型、資本集約型のもの作りに対応した(専門知識やスキルを身につけた)人材を求めているからだ。
(財新記者:程思煒)
※原文の配信は6月13日
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