中国の白物家電大手の美的集団(ミデアグループ)が大規模な人員整理を進めているもようだ。財新記者の取材に応じた複数の現役社員および元社員の証言によれば、ここ1~2カ月の間に多数の部門から少なからぬ人数が退社した。ただし具体的な人員カットの比率は不明だという。
「今回の人員整理は、雇用契約期間の満了時の雇い止めや、社内での配置転換、契約期間1年の非正規雇用への切り替えなど、(指名解雇よりも)相対的に穏健なやり方で進められている」。一部の元社員は、財新記者の取材に対してそう明らかにした。
美的集団は人員整理に関する情報を開示していないが、同社の董事長(会長に相当)を務める方洪波氏は、5月20日に開催された株主総会で次のように述べた。
「わが社の経営は外部環境の変化による複数の困難に直面している。将来に向けた経営判断に基づき、一定のスリム化の実行が必要だ」
中国の1~3月期の家電販売は2桁減
美的集団の内情に詳しい関係者によれば、人員整理の主な対象はグループ内での存在感が薄く、長期にわたってめぼしい業績を上げていない部門が中心だという。「業務の見直しと人員の適正化は正常なことだ」と、この関係者は話す。
2021年の決算報告書を見ると、美的集団の事業構成は「冷暖房空調設備」が総売上高の41.6%、「消費者向け電器製品」が同38.6%を占めている。同社は(産業用ロボットなど)家電以外の分野への多角化を進めてきたが、現時点では依然、家電事業が経営を支える屋台骨だ。
しかし過去2年の原材料価格の高騰により、家電各社は苦しい経営を迫られている。美的集団も例外ではない。同社の2021年の売上高は3412億3300万元(約6兆5381億円)と前年比20.1%の増収を達成したが、純利益は285億7400万元(約5485億円)と同5.0%の増益にとどまった。
2022年に入ると、中国各地で新型コロナウイルスの流行が多発し、家電メーカーの経営環境はさらに厳しさを増している。市場調査会社の奥維雲網のデータによれば、中国国内の家電製品の小売り販売額は2022年1~3月期に前年同期比10.3%の落ち込みを記録した。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は5月24日
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