中国の新興EV(電気自動車)メーカーの理想汽車は6月21日、同社にとって2車種目となるプラグインハイブリッドの新型車「L9」を発表した。
その売り物は、自動運転支援システムの要であるセンサーの大幅な強化だ。レーザー光を用いた3次元センサー「LiDAR(ライダー)」を搭載したほか、障害物などを識別する800万画素のカメラ6台、車両の周囲を360度観測する200万画素のカメラ4台、超音波レーダー12台などを装備した。
「理想汽車の自動運転システムは(ソフトウェアの)アルゴリズムの考え方はテスラに近いが、そこに(テスラが搭載していない)LiDARと高精度地図データを追加して(精度を高めて)いる」。同社の自動運転技術担当の副総裁(副社長に相当)を務める郎咸朋氏は、財新記者の取材に対してそう説明した。
L9がこれほど多くのセンサーを装備するのは、市街地の一般道路での自動運転実現を見据えているからだ。センサーが集める大量の情報を処理するため、エヌビディア製の自動運転向け最新SoC「Orin(オーリン)-X」を2基搭載している(訳注:SoCはシステムオンチップの略称。CPUや各種コントローラーなどの基幹機能を1つのチップにまとめたもの)。
小鵬汽車は2022年内に市街地に対応
現時点の自動運転支援システムは、基本的に高速道路だけに対応している。高速道路は車両の走行速度は高いものの、信号がなく、自転車や歩行者もいない。このため、市街地の一般道路に比べて走行環境がシンプルであり、システムに求められる要件が相対的に低いからだ。
だが、技術開発競争の主戦場はすでに市街地に移っている。例えばテスラは、FSD(フル・セルフ・ドライビング)と呼ぶ新システムの走行試験をアメリカとカナダで実施している。中国勢では新興EVメーカーの小鵬汽車(シャオペン)が、2022年内に市街地走行に対応した自動運転支援システムを投入する計画だ。
理想汽車の郎氏によれば、同社の自動運転支援システムは2022年は高速道路走行への対応をさらに進化させ、市街地走行への対応は2023年を予定している。その先の最終目標は市街地での完全自動運転へのアップグレードだが、達成時期についてはまだ見通せない状況だ。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は6月22日
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