中国では3月から各地で拡大していた新型コロナウイルスの流行がおおむね落ち着き、経済活動の再開が進んでいる。
それとともに、製造業の景況感も急速に改善してきた。7月1日に発表された6月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は51.7と、前月(48.1)より3.6ポイント上昇。好不況の判断の目安とされる50を4カ月ぶりに上回った。
製造業の6月の事業活動は供給側と需要側の双方で改善を見たが、回復の度合いは供給側のほうがより顕著だった。(供給側の指標である)生産指数は拡大基調と縮小基調のボーダーラインを上回り、2020年12月以来の高水準を記録した。
一方、(需要側の指標である)新規受注指数はボーダーラインをわずかに上回ったものの、回復の勢いは供給側に及ばなかった。調査対象企業からは「新型コロナの影響はまだ残っており、需要回復の重しになっている」との声が多く聞かれた。
競争激化でコストアップの転嫁進まず
事業環境の好転にもかかわらず、雇用は依然厳しい状況が続いている。製造業の6月の雇用指数は前月よりわずかに改善したが、ボーダーラインを超えて拡大基調に転じるには至らなかった。
取引価格の指標に目を移すと、仕入れ価格と販売価格の動きの「ずれ」が引き続き目立つ。(仕入れ価格の指標である)購買価格指数は原材料費や物流費の高止まりを反映し、6月はほぼ前月並みの高水準にとどまった。
それとは対照的に、(販売価格の指標である)工場出荷価格指数は前月から2カ月連続でボーダーラインを下回った。市場競争の激化で生産コストの上昇を販売価格に転嫁できず、利ザヤの縮小を受け入れざるをえない実態が垣間見える。
製造業の経営者の向こう12カ月間の楽観度を示す指数は、(新型コロナの流行が拡大した)3月以降では最も高い水準に回復したが、引き続き長期平均値を下回っている。
調査対象企業からは、「新型コロナの完全な収束がいつになるのか見通せず、(世界的なインフレで)生産コストは上がり続けており、(ウクライナ戦争の長期化など)グローバル経済の不確実性も高まっている」と、先行きを懸念する声が相次いだ。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は7月1日
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