中国では新型コロナウイルスの再流行がようやく落ち着きを見せ、防疫対策が緩和されつつある。それとともに、大幅に悪化していたサービス業の景況感に好転の兆しが出てきた。
6月6日に発表された5月の財新中国サービス業経営活動指数(サービス業PMI)は41.4を記録。絶対水準では好不況の目安である50を依然割り込んでいるが、前月(36.2)比では5.2ポイント改善した。
サービス業の5月の事業活動は、供給側と需要側の双方で縮小が続いた。供給側の動向を示す経営活動指数と需要の動向を示す新規受注指数は、そろって4月より上昇したものの、拡大基調と縮小基調のボーダーラインを引き続き下回っている。
調査対象企業によれば、供給側の縮小はロックダウン(都市封鎖)に伴う外出制限など、新型コロナ対策として実施された厳しい防疫措置の影響が大きい。同時に、新型コロナの流行は消費者心理にも冷水を浴びせ、需要側も縮小させるダブルパンチとなった。
コスト上昇を料金に転嫁する動きも
そんななか、サービス業の雇用情勢は悪化が続いている。サービス業の5月の雇用指数は企業の採用意欲の低さを反映し、2021年3月以降の最低値を記録。拡大基調と縮小基調のボーダーラインを5カ月連続で下回った。
サービス業の経営を圧迫する人件費、原材料費、物流費などの高止まりに対し、企業がコスト上昇の一部をサービス料金に転嫁する動きも目立ちつつある。4月にボーダーラインをいったん割り込んだ(販売価格の指標である)サービス提供価格指数は、5月は再び上昇基調圏に浮上した。
今後の事業の展望について、サービス企業の多くは新型コロナ収束後の力強い景気回復に期待すると同時に、流行が繰り返されることへの不安を感じている。サービス企業の経営者の向こう12カ月間の楽観度を示す指数は、5月は過去3カ月間の最高値を記録したが、長期平均線にはまだ届かない水準だった。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は6月6日
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