中国の主要な石炭産地で増産計画が相次いでいる。中国最大の産出量を誇る山西省の政府は6月28日、採掘能力の増強などにより、2022年の石炭産出量を前年の9.2%増しの13億トンに引き上げると発表した。
山西省以外の主要産炭地も同様だ。陝西省政府は4月、2022年の石炭産出量を前年の2.9%増しの7億2000万トンに増やすと発表。新疆ウイグル自治区政府は5月、石炭の年間産出能力を第14次5カ年計画(2021~2025年)の期間中に1億6000万トン上積みする計画を打ち出した。
中国の先物取引大手の天風期貨(TFフューチャーズ)は、2022年の中国全土の石炭産出量が前年比4.9%増加し、上積み量は2億トンに達する可能性があると予想している。
輸入炭減少で国内価格が高止まり
主要産炭地の一斉増産は、中国のマクロ経済政策を統括する国家発展改革委員会が2022年3月に通達した指示がきっかけだ。その狙いは、石炭増産を通じて高止まりしている市場価格を引き下げることにある。
中国電力企業連合会のデータによれば、1キログラム当たりの発熱量5500キロカロリーの発電用石炭は(主要消費地である)中国沿海部でのスポット取引価格が6月下旬時点で1トン当たり1289元(約2万6228円)と、年初より6割も値上がりしている。
エネルギーの安定供給確保が叫ばれるなか、中国国内では2022年1月から5月までの石炭産出量が18億1000万トンに達し、前年同期比10.4%増加した。にもかかわらず価格の高止まりが続くのは、海外からの輸入炭が大幅に減少し、市場全体では需給が緩んでいないためだ。
中国の2022年1月から5月までの石炭輸入量は9595万トンと、前年同期比13.6%減少した。前出の天風期貨の分析によれば、輸入減少の直接的な原因は、国際相場の高騰で中国の国産炭との価格差が拡大したことにある。
輸入炭価格の指標の1つであるオーストラリア・ニューカッスル港の積み出し価格は6月24日時点で1トン当たり403.4ドル(約5万4810円)と、年初の約2.3倍に値上がりした。その結果、輸入炭と国産炭の価格差は今や1トン当たり1500元(約3万521円)近くに広がっている。
(財新記者:盧羽桐)
※原文の配信は6月30日
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