ロシアのウクライナ侵攻が始まって以降、中国とヨーロッパを結ぶ国際貨物列車「中欧班列」の運行状況に大きな変化が起きている。ヨーロッパとの貨物の往来が減少する一方で、ロシア方面が大幅に増加し、全体の輸送力が逼迫しているのだ。
中国の国有鉄道会社、国家鉄路集団の7月3日付の発表によれば、2022年1月から6月までに運行された中欧班列は合計7473本と、運行本数ベースで前年同期比2%増加した。輸送量ベースでは、20フィートコンテナ換算で同2.6%増の72万箱を運んだ。
この数字は、中欧班列による貨物輸送の増勢が続いていることを示している。新型コロナウイルスの世界的大流行の影響で、海上コンテナ輸送が混乱したことなどが追い風になり、2021年の中欧班列の運行本数は前年比22%増の1万5200本に上っていた。
だが、それ以上に注目すべきなのが、2022年前半に生じた中欧班列の構造的な変化だ。「全体の運行本数に占める中国ーロシア間の貨物列車は、2021年は45%だった。2022年前半は、それが6割を超えた可能性がある」。中国交通運輸協会の国際業務担当シニアコーディネーターを務める楊潔氏は、そう解説する。
1~5月の中ロ貿易額は3割増
2011年3月に運行を始めた中欧班列は、中国と西ヨーロッパを結ぶもので、ロシアはその経由地というイメージが強い。だが、実際には西ヨーロッパ以外の目的地にも多数の列車が運行しており、ロシアもその1つだ。
財新記者の取材に応じたある国際運送会社の担当者によると、彼の会社では中欧班列を利用したロシア向け輸出貨物の取扱量が2022年前半にほぼ倍増したという。「ウクライナ危機の勃発後、ロシア向けの海運や貿易品目が(西側諸国の)制裁を受けたため、ロシア(の貿易業者)から鉄道輸送のオーダーが増加した」と、この担当者は話す。
なお中国海関総署(税関)のデータによれば、今年1月から5月までの中国とロシアの貿易額は累計658億ドル(約9兆3103億円)と、前年同期比28.9%増加。そのうち、中国からロシアへの輸出は同7.2%増の246億ドル(3兆3300億円)、ロシアからの輸入は同46.5%増の412億ドル(約5兆5998億円)だった。
(財新記者:趙煊)
※原文の配信は7月6日
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