中国でカリウム肥料の価格が急上昇している。中国無機塩工業協会のデータによれば、4月18日の時点で、輸入カリウム肥料の港渡し価格は1トン当たり5150元(約10万円)と1年前の2倍に上昇。また、中国国内最大のカリウム肥料メーカー、青海塩湖工業の提示価格は1トン当たり3900元(約7万7600円)と、1年前より66%値上がりした。
価格高騰は2022年に入って加速している。国家発展改革委員会の物価観測センターのデータによれば、4月初旬時点の塩化カリウムの輸入品の価格は1月初旬時点より17.2%、国産品は同23.6%それぞれ上昇している。
カリウム肥料はリン酸肥料、窒素肥料と並んで、農業に不可欠な基礎的肥料の1つだ。中国は国内で使用するカリウム肥料の50%を外国からの輸入に依存している。国別のカリウム肥料の生産量ではロシアが世界第2位、ベラルーシが第3位であり、両国で世界全体の約4割を占める。
西側諸国の経済制裁で輸出に打撃
そんななか、2021年に欧州連合(EU)とアメリカがベラルーシに対する経済制裁を発動したため、ベラルーシ産のカリウム肥料の輸出が滞り、国際価格の上昇が始まった。そこに追い打ちをかけたのが、2022年2月に勃発したロシアのウクライナ侵攻だ。
西側諸国の対ロシア制裁により、ロシア産のカリウム肥料の輸出に影響が及ぶのは間違いない。それは中国国内のカリウム肥料の需給にどんなインパクトをもたらすのだろうか。財新記者の取材に応じたアナリストは、「問題は供給面よりも価格面が大きい」と指摘した。
このアナリストによれば、中国とロシア・ベラルーシを結ぶ鉄道を利用して(西側諸国の港湾を経由せずに)輸入を行えば、カリウム肥料の供給不足の心配は小さい。とはいえ世界全体ではカリウム肥料の需給が逼迫するため、国際価格はさらなる上昇が見込まれる。中国の国内価格も、その影響が避けられないという。
カリウム肥料の今後の価格動向に関しては、前出の国家発展改革委員会の物価観測センターも「ロシアとウクライナの衝突の短期終息は困難であり、化学肥料への(供給や価格への)インパクトは長期化する」との見方を示している。
(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は、4月20日
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