中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対するアメリカ政府の制裁が続くなか、同社の3大事業部門の1つであるコンシューマー製品部門は(制裁の影響を受けない)新たなビジネスチャンスを模索している。
4月20日、ファーウェイは法人向けオフィス機器の新製品発表会を開催。その席で、コンシューマー製品部門のCEO(最高経営責任者)を務める余承東氏は、部門の名称を「端末事業部門」に改名すると明らかにし、法人向け市場への全面参入を宣言した。
端末事業部門は、今後は消費者向けと法人向けの両方の製品を取り扱う。法人向け製品はノートパソコン、デスクトップパソコン、ディスプレー、タブレット、スマートスクリーン、スマートウォッチ、プリンターの7分野をそろえ、企業や政府機関に積極的に売り込む計画だ。
余氏によれば、大企業や政府の顧客に対しては、ファーウェイが独自開発した基本ソフト(OS)「鴻蒙(ホンモン)」のカスタマイズに対応するという。また、サードパーティのソフトウェア開発者がさまざまな業界向けに鴻蒙をカスタマイズした製品やソリューションを提供できるよう、ファーウェイが積極的に働きかけていく。
市場シェアは思うように伸びず
ファーウェイのコンシューマー製品部門は、アメリカ政府の制裁強化の影響で最先端の半導体の調達が困難になり、稼ぎ頭だったスマートフォン事業が大打撃を被った。ファーウェイの2021年の年次報告書によれば、コンシューマー製品部門の売上高は前年比49.6%減の2434億元(約4兆8933億6228万円)と、たった1年で半減した。
スマホ事業の縮小で空いた大穴を埋め合わせるため、コンシューマー製品部門はパソコン、スマートテレビ、スマートウォッチ、ワイヤレスイヤホン、スマートスピーカー、プリンターなどの分野に事業の軸足をシフト。製品ラインナップの充実と販売拡大を急いでいる。
だが、これらの製品分野でファーウェイは後発であり、市場シェアは思うように伸びていない。
パソコンを例にとると、ファーウェイはタブレットとしてもノート型としても使える「2-in-1」のパソコンを2016年5月に発表したのを皮切りに、製品ラインナップを徐々に増やしてきた。しかし調査会社のIDCが発表した2021年の世界のパソコン出荷台数ランキングでは、社名が明記された上位6社のなかにファーウェイの名前はない。
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は4月20日
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