日本は歴史ある自動車製造大国だが、エンジン車からEV(電気自動車)への転換は遅れ気味だ。そんななか、EVシフトで先行する中国の自動車メーカーがその強みを生かし、日本市場への進出を図る動きが出てきた。
中国のEV(電気自動車)大手の比亜迪(BYD)は7月21日、日本の乗用EV市場への参入を宣言する発表会を東京で開催した。SUV、セダン、コンパクトカーの3車種を2023年1月から順次投入する。日本の自動車販売会社やその他の提携先と協力して、しっかりした販売・アフターサービスのネットワークを徐々に広げていく計画だ。
BYDは、すでに商用EVでは日本市場に参入済みだ。2015年2月、京都のバス運行会社にEVバスを5台納車したのを皮切りに、東京、沖縄、長崎などの運行会社にも車両を販売してきた。同社は2028年前後までに日本市場で累計4000台のEVバスの販売を目指している。
日本の消費者に受け入れられるか
エンジン車が主流の時代には、中国の自動車メーカーが日本に乗用車を輸出するケースはほとんどなかった。日本市場では既存メーカーの競合関係がほぼ固まっていた(ため、中国メーカーが新規参入できる余地が小さかった)うえ、中国製の乗用車はエンジンや変速機などの基幹部品の技術開発で後れを取っていたからだ。
しかしEVシフトの時代に入り、日本メーカーの対応が相対的に遅れたおかげで、中国メーカーにビジネスチャンスが巡ってきた。BYDによる乗用EVの投入は、日本市場で中国メーカーと日本メーカーの直接競争が始まることを意味する。
「現在の日本市場には、一般市民向けの(手ごろな価格の)EVが少ない。これはBYDにとって商機と言える」と、ある業界関係者は分析する。
だが、日本市場では今もエンジン車とハイブリッド車が主流で、消費者の購買意識もあまり変化していない。そのため、「BYDの乗用EVが日本市場でどこまで受け入れられるかは未知数だ」と、この関係者は付け加えた。
(財新記者:黄栄)
※原文の配信は7月23日
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