中国の製造業の景気回復がスローダウンしている。例年7月は生産活動の閑散期であることに加え、いったん下火になっていた新型コロナウイルスの流行が局地的にぶり返していることが要因だ。
8月1日に発表された7月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は50.4と、前月(51.7)より1.3ポイント低下。好不況の判断の目安とされる50は上回っているものの、先行きは予断を許さない。
製造業の7月の事業活動は、供給側と需要側の双方で拡大の勢いが失速した。調査対象企業からは、需要側が(供給側より)相対的に弱いとの声が数多く寄せられた。さらに、新型コロナ流行の影響が続いていることや(猛暑で電力需要が急増したことによる)停電の影響も重なり、生産活動に制約が生じた。
短期的な先行き不安は払拭されず
製造業の雇用は依然厳しい状況が続いている。6月にわずかに改善した雇用指数は7月は再び悪化に転じ、2020年5月以来の低水準に落ち込んだ。調査結果からは、売り上げが低迷するなかで企業がさらなるコストダウンを迫られ、人員カットや自己都合退社した社員の後任を補充しないなどの対応を取っている実態が読み取れる。
景気の先行きについて、製造業の経営者は相対的に楽観的な見方を維持している。とはいえ足元では、新型コロナ流行の局地的なぶり返しが大きな不安要素になっていることは否めない。経営者の向こう12カ月間の楽観度を示す指数は、7月は前月よりやや低下した。
「製造業の景気回復基調はまだ盤石とは言えない。供給側に比べて需要側が弱い状況が続いており、(景気回復の)雇用への反映も遅れている。事業の将来に対する長期的な楽観は維持されているが、短期的な先行き不安は払拭されていない」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は8月1日
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