中国・珠江デルタ「世界の工場」の受注が細る背景 人員削減が相次ぎ、労働力市場は供給過剰に

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製造業が集積し「世界の工場」と呼ばれた珠江デルタが、変化の波に洗われている(写真はイメージ)

「以前は経験者の求人をかけても1週間では見つからなかった。それが今なら1日で採用できる」。そう証言するのは、広東省深圳市でLED製品を生産している工場の経営者だ。中国有数の製造業の集積地である華南の珠江デルタ地区では、受注減少のために多くの工場が人員削減に踏み切り、労働力市場が供給過剰に傾いている。

「2022年上半期の受注は例年の半分以下で、なかでも3月から5月は2割に落ち込んだ。6月中旬からようやく回復してきたが、それでも通常の8割程度だ」。上述の経営者は、厳しい現状をそう話す。

彼の工場ではLEDを埋め込んだテープを生産し、主にキックボードのメーカーに納入している。受注減少の主因は外需の低迷だ。新型コロナウイルスの世界的大流行の影響で、海外では生活必需品ではないキックボードの需要が縮小してしまったという。

生産ラインを海外に移す動きも

同じく深圳市にある半導体向け設備メーカーでは、5月以降に従業員の20%を解雇した。残った従業員も賃金はカットされていないが、受注の落ち込みで残業時間が減っており、手取りが目減りしている。

「海外の製造業が(新型コロナの打撃から)徐々に復旧し、中国のサプライヤーから受注を奪っている。また、2021年は海外のバイヤーが新型コロナの影響を恐れて(サプライヤーに多めに発注して)在庫を積み増した。その消化には一定の時間が必要だ」。中小企業の業界団体、広東中小企業発展促進会の会長を務める謝泓氏は、受注減少の背景をそう分析する。

本記事は「財新」の提供記事です

それだけではない。謝氏によれば、珠江デルタの一部の企業には、経営効率を高めるために生産ラインを海外に移転する動きもあるという。

「海外のバイヤーが中国のサプライヤーに生産の海外移転を求め、発注継続の条件にするケースもある。現時点では国内で受注を確保できている企業も、顧客が海外の代替調達先を見つけてしまえば、将来は受注が減りかねない」(謝氏)

(財新記者:楊錦曦)
※原文の配信は7月12日

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