原油や金属などのコモディティー相場が調整局面に入っている。原油価格の国際指標の1つであるWTI原油先物は、6月上旬に1バレル=120ドル(約1万6650円)台をつけた後に反落し、7月上旬には一時100ドル(約1万3870円)を割り込んだ。
世界経済のファンダメンタルズとより密接に連動する金属相場は、調整幅がさらに大きい。ロンドン金属取引所(LME)の銅先物相場は、3月につけた最高値から3割近く下落。アルミニウム先物は最高値から4割、ニッケル先物は同6割も値を下げている。
そんななか、コモディティーの需要家である製造業が直面していたコスト上昇圧力に、緩和の兆しはあるのだろうか。
華創証券のマクロ経済担当チーフアナリストを務める張瑜氏の分析によれば、製造業の利益はすでに5月から多くの業種で改善傾向を見せている。中国国家統計局の分類に基づく工業の41業種のうち、半分の20業種で5月の利益が前月より増加、または減少幅が縮小し、うち5業種では利益が減少から増加に転じた。
家電メーカーの増益傾向が鮮明に
招商証券のマクロ経済担当チーフアナリスト、張静静氏が率いるチームの分析によれば、製造業のサプライチェーンのなかで(よりエンドユーザーに近い)「川下」に位置する企業のほうが、「川上」の企業よりも明らかに好調だ。特に自動車、機械、医薬、食品などの各業界で、川中から川下にある企業の業績改善に期待が高まっているという。
なかでも注目されるのが、家電メーカーの収益力の回復だ。製品の原材料である鉄や銅、樹脂などの調達コストが下がったうえ、人民元の対ドル為替レート下落の効果が加わり、2022年4~6月期は利益の増加傾向が鮮明になっている。
株式市場はすでにそれを織り込み始めている。例えば7月11日、中国のA株(人民元建て株式)は全体的に弱含んだが、家電セクターの株価は逆に強含みで推移した。この日、上海申銀万国証券が算出している大手家電メーカーの株価インデックスは前日比0.69%上昇。上海総合指数が同1.27%下落したのとは対照的だった。
(財新記者:王晶)
※原文の配信は7月11日
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