中国の民営リチウム大手の贛鋒鋰業(ガンフォンリチウム)は7月11日、南アメリカの大型リチウム資源を買収すると発表した。アルゼンチンのサルタ州にある2つのリチウム塩湖の開発権を持つ企業の株式を、9億6200万ドル(約1310億円)を投じて100%取得する。
贛鋒鋰業によれば、2つのリチウム塩湖はいずれもアルゼンチンのパストス・グランデス塩湖地区にあり、炭酸リチウム換算の資源量は合計1106万トンに上る。同社は開発プロジェクトの第1期で年間3万トン、将来的には同5万トンの炭酸リチウムを生産する計画だ。
「今回の投資決断は資源量の魅力が大きかった」。財新記者の取材に応じた贛鋒鋰業の関係者は、そう打ち明ける。買収する2つのリチウム塩湖の資源量はアルゼンチン第3位の規模を誇り、贛鋒鋰業が権益を持つリチウム資源開発プロジェクトのなかでも2番目の規模となる。
2030年に世界シェア20%目指す
贛鋒鋰業が保有する最大のリチウム権益は、同じくアルゼンチンのカウチャリ・オラロス塩湖だ。同社は2018年に6030万ドル(約82億円)を投じて開発権の37.5%を取得。その後も権益を買い増し、現在は46.67%を保有する。カウチャリ・オラロス塩湖の資源量は炭酸リチウム換算で2485万トンに達し、リチウム塩湖の開発プロジェクトとしては世界最大規模だ。
同社は2011年からいち早く海外リチウム資源の確保に乗り出し、保有する権益は炭酸リチウム換算で3000万トンを超える。中国企業が持つ資源量としては最大であり、その投資先はオーストラリア、アルゼンチン、メキシコ、アイルランド、アフリカのマリなど世界各地に広がっている。
これらの権益を背景に、贛鋒鋰業はリチウム製品の生産拡大に邁進。2021年は約9万トンを生産し、世界3大メーカーの一角に浮上した。同社は2025年の生産能力を年間30万トン、2030年には同60万トンに拡大することで、グローバル市場の20%を握る目標を掲げている。
(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は7月12日
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