中国の民営リチウム大手の贛鋒鋰業(ガンフォンリチウム)は3月31日、2021年の通期決算報告を発表した。それによれば、売上高は前年の2倍超の111億6000万元(約2141億円)、純利益は同5倍超の52億3000万元(約1003億円)と、大幅な増収増益を記録した。
好業績の要因は、自動車業界のEV(電気自動車)シフトを背景にしたリチウム相場の高騰だ。電池の主要原料の1つである炭酸リチウムの市場価格は、2021年初めには1トン当たり5万元(約96万円)前後だったのが、同年8月には同10万元(約192万円)を突破。その後は価格上昇がさらに加速し、2022年3月には同50万元(約959万円)を超えた。
贛鋒鋰業は世界第3位のリチウム生産企業で、炭酸リチウムと並ぶ電池向け原料である水酸化リチウムも生産している。同社の2021年の水酸化リチウム生産量は世界全体の28%を占め、アメリカのリチウム大手のアルべマールを抜いて首位に浮上した。
車載電池の開発・生産にも参入
近年、中国企業による海外のリチウム権益の買収が相次いでいるが、贛鋒鋰業はその先駆けだ。同社は中国企業としては最大の海外権益を確保しており、その量は炭酸リチウム換算で3000万トンを超える。
贛鋒鋰業は2011年から積極的な海外進出を続けてきた。すでにオーストラリア、アルゼンチン、メキシコ、アイルランド、(アフリカの)マリなどでリチウムを生産しており、アルゼンチンのリチウム塩湖やメキシコのリチウム粘土鉱床でも新たな開発プロジェクトを進めている。
また、同社は電池原料の供給だけに飽き足らず、車載電池の開発・生産にも手を広げつつある。長期的には、リチウムイオン電池メーカーとして世界的な大手の一角を占めるのが目標だ。
2021年10月末に財新のインタビューに応じた董事長(会長に相当)の李良彬氏は、「しかるべき時期にリチウムイオン電池事業をスピンアウトして上場させるつもりだ」と述べていた。
(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は3月31日
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