中国の半導体産業を育成する「国策ファンド」の現職トップが、当局に汚職容疑で拘束され取り調べを受けていることがわかった。
7月30日、中国共産党中央規律検査委員会(訳注:共産党の汚職取り締まり機関)、国家監察委員会および北京市監察委員会は、国家集成電路産業投資基金の総経理(社長に相当)の丁文武氏を取り調べているとウェブサイトで公表した。
事情を知る複数の関係者によれば、丁氏は7月中旬に北京で拘束・連行された模様だ。丁氏が公の場に最後に姿を見せたのは、7月16日に福建省厦門市で開催された半導体業界のフォーラムだった。
「過去2年間、半導体業界は大変な好景気に沸き、『バカでも儲かる』と言う者までいた。だが現在、この状況は変わり始めている」。丁氏はフォーラムでの講演でそう発言していた。
工業情報化省の元電子情報局長
丁氏は1962年生まれ。1988年に合肥工業大学応用物理学科を卒業し、1992年に同校で修士号を取得。機械電子工業省(現工業情報化省)に入省し、2011年に工業情報化省電子情報司(訳注:「司」は日本の中央省庁の「局」に相当)のトップに就任した。その後、2014年に官界を離れて国家集成電路産業投資基金の総経理に転じた。
この基金は中国の半導体産業の発展を支援するため、財政省、国家開発銀行傘下の投資会社の国開金融(CDBキャピタル)、国有タバコ大手の中国煙草、国有投資会社の亦庄国際投資発展などが出資して設立。第1号ファンドの総額は1387億2000万元(約2兆7456億円)に上った。
また、アメリカが中国のハイテク企業に対する締め付けを強めるなか、2019年には第2号ファンドを組成。その総額は2041億5000 万元(約4兆406億円)と、1号ファンドを大きく上回る。
国策ファンドの幹部が汚職容疑で取り調べを受けるのは、丁氏が初めてではない。7月15日には、国家集成電路産業投資基金の運用を請け負っていた華芯投資管理の元総裁の路軍氏が、当局に拘束されて取り調べを受けていることが明らかになっていた。
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は7月30日
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