半導体の受託生産を手がける中国の粤芯半導体技術(CanSemi)は6月30日、総額45億元(約914億円)の資金調達を完了したと発表した。
この資金調達では、広東省政府系の投資ファンドの広東省半導体・集積回路産業投資基金と、国有自動車大手の広州汽車集団傘下の投資ファンドである広汽資本(GACキャピタル)が共同でリード投資家を務めた。
粤芯半導体技術に近い複数の関係者によれば、今回の資金調達を経た同社の企業評価額は200億元(約4063億円)に達したという。注目に値するのは、調達額の6割以上を既存の株主が引き受けたことだ。「粤芯半導体技術の将来について投資家が楽観している表れだ」と、ある国有資本の機関投資家は評価する。
2017年12月に発足した同社は、12インチウェハーの生産ラインを用いて主にIoT(モノのインターネット)や車載用電子機器など向けのアナログ半導体の製造を受託している。生産ラインの第1期と第2期はすでに稼働しており、2021年のチップの出荷量は前年の約2.7倍に増加した。
小規模設計会社の製造をサポート
今回調達した資金の用途について、粤芯半導体技術は「主に第3期のプロジェクトに充当する」と説明している。同社が以前開示した資料によれば、第3期の生産ラインでは自動車向けや工業向けの特殊プロセス製品を含む、ハイエンドのアナログ半導体を製造する計画だ。
国際的に見ると、アナログ半導体の大手メーカーはチップの設計から製造、パッケージングまでを一貫して手がける「垂直統合型」の企業形態をとるケースが多い。例えばアメリカのテキサス・インスツルメンツや、ドイツのインフィニオン・テクノロジーなどが典型だ。
そんななか、アナログ半導体の受託生産に特化した粤芯半導体技術の事業モデルは異彩を放つ。その狙いについて、同社の副総裁(副社長に相当)を務める趙斌氏は6月26日に開催された業界のフォーラムで次のように述べた。
「中国(の半導体業界)は、アナログ半導体の垂直統合型モデルを発展させるタイミングを逸した。国内のアナログ半導体設計会社は規模が小さく、自社工場を持つのが難しい。そこで、わが社がカスタマイズ可能な受託製造サービスを設計会社に提供し、この問題を解決したい」
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は7月1日
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