中国の半導体メモリーチップ設計専門会社の東芯半導体(Dosilicon)は、上海証券取引所の新興ハイテク企業向け市場「科創板」に上場する。 4月15日、上海証券取引所は東芯が科創板への上場審査を通過したことを明らかにした。
東芯の目論見書によると、同社は今回の上場で7億5000万元(約125億円)を調達する計画だ。上場時の時価総額は約30億元(約500億円)を見込んでいる。今回調達する資金のうち、40%近くが事業の運転資金に充てられ、残りは16〜19nm(ナノメートル)のプロセス技術を使ったフラッシュメモリや、車載規制に適合したフラッシュメモリの研究開発、R&Dセンターの建設などに充てられる。
東芯は2014年11月に上海と香港の投資会社2社による出資により設立された、生産設備を持たないファブレスメーカーだ。中国の半導体受託生産最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)などに委託している。
同社は2015年に韓国のファブレスメーカーであるフィデリックスとその傘下にあるネマステックを買収し、以降両社を東芯における技術の中核に据えている。
研究開発要員にも韓国出身者
2020年6月末時点で同社の従業員数は169人、そのうち4割近くを研究開発要員が占める。中核的な技術を担うエンジニア5人のうち、3人は韓国出身だ。董事(取締役に相当)を務める安成漢氏は韓国の半導体メーカー SKハイニックスのメモリー事業部のトップを担っていた。安成漢氏はSKハイニックスを離れたのち、フィデリックスとネマステックを経て、2015年の買収とともに東芯に入社した。
そんな東芯の事業は、NANDフラッシュ、NORフラッシュ、DRAMの3分野をカバーし、中小容量で汎用性の高いメモリーチップに集中している。
中国はこれらのメモリー設計の分野で、すでに一定の蓄積がある。例えばファブレスメーカーの兆易創新(GigaDevice)は、NORフラッシュの分野で世界の5本の指に入るポジションにあり、DRAMへの参入も狙っている。
半導体の需要が逼迫する中で、東芯の上場は市場からの注目度が高まるものの、前出の目論見書によれば、2019年の東芯の売上高は7億600万元(約118億円)、純損失は6384万元(約10億6000万円)、2020年上半期の売上高は7億5900万元(約126億円)、純損失は152万元(約2532万円)と、現在に至るまで赤字から脱出することができていない。
(財新記者:何書静、崔浩)
※原文の配信は4月16日
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