2020年に中国で人気に火がついた超小型のマイクロ電気自動車(EV)に続々と参入者が現れている。中国工業情報化省の4月12日の発表によると、同省には新たに33車種のEVの型式認定申請があり、そのうちマイクロEVは19車種に上ったという。
マイクロEVの販売価格は約3万元(約50万円)と低価格だ。コンパクトな車体で、航続距離は約200キロメートルに達する。
とくに人気を博しているのが、2020年7月末に上汽通用五菱汽車が発売したマイクロEVの「宏光MINI EV」だ。業界団体である乗用車市場信息聯席会のデータによると、テスラの2021年3月の販売台数は3万5400台に達し月間販売記録を刷新したが、宏光MINI EVの当月の販売台数は3万9700台とこれをさらに上回った。
今回、工業情報化省に申請書を提出した自動車企業は、長安汽車グループ傘下の「長安新能源汽車」、奇瑞汽車グループの「奇瑞新能源汽車技術」、アメリカのゼネラル・モーターズ(GM)が出資する「上汽通用五菱汽車」、四川省の「野馬汽車」などの6社だ。そのうち、野馬汽車(YEMA)は最も多い6モデルを申請している。
市場の競争はますます激化する
野馬汽車は1988年の創業で、2019年1月に山東省の低速電動車メーカー(訳注:最高速度が毎時70kmを超えない4輪の電気駆動車両を指す)である雷丁汽車により買収された。買収の背景には、雷丁汽車が低速電動車メーカーから、新エネルギー車メーカーへの転身を目指していることがある。
中国の地方都市と農村地域に目を転ずると、雷丁汽車が得意とする低速電動車は手軽な外出の足として普及している。4輪自動車並のボディには鉛蓄電池が搭載され、販売価格は3万元以下と安い。
低速自動車にはナンバープレートを付けることはできないが、運転者は運転免許の試験を受ける必要も無い。このような背景から、低速電動車は各地で野放図に増え続け、近年では、販売台数は年間100万台を超える。
低価格のマイクロEVは、低速電動車に取って代わることが可能で、しかもその伸びしろは大きい。4月12日には雷丁汽車もマイクロEVの量産開始を宣言した。同社総経理(社長に相当)の舒欣氏は「2021年はマイクロEVを10万台販売し、2022年は40万台、2023年は60万台の販売を目指す」と意気込む。
上汽通用五菱汽車が生産するEVがすでに生産規模の優位性を発揮するなかで、ほかの自動車メーカーがこの競争に打ち勝てるのか、市場の検証が待たれるところだ。
(財新記者:劉雨錕)
※原文の配信は4月13日
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