4月6日、中国科学院と清華大学の研究者グループが、科学雑誌『ネイチャーコミュニケーションズ』上に、中国における仮想通貨の電力消費量が2024年にはピーク値の296兆5900億Wh(ワット時)に達し、1億3000万トンものCO2(二酸化炭素)が排出されるとの予測を発表した。
ビットコインのマイニングや、ブロックチェーン技術の活用には大量の電力が必要とされる。これらの1年間の総電力消費量はデンマーク、アイルランド、バングラデシュなどの中小国家の電力消費量に匹敵し、CO2の膨大な排出にもつながっている。
中国ではこれらの問題が深刻化している。とくに農村地域は、電気料金が安く、マイニング施設に適した未開発の土地が大量に存在するため、「マイニングの理想的な立地である」と業界関係者から注目されている。その結果、中国におけるビットコインのマイニングを行う計算能力は2020年4月時点で世界全体の78.89%を占めている。
なんらかの政策的介入が必要
前出のレポートでは、4つのモデルからビットコインやブロックチェーンのCO2排出量を評価した分析結果も発表している。そのうち各業者の市場参入を100%認めるモデルの分析においては、中国のブロックチェーンの技術活用などによる電力消費が2024年にピーク値に達し、1億3000万トンのCO2が排出されるとの結果が出た。これはイタリア、オランダ、スペイン、チェコスロバキアなど一部先進国の水準を超える排出量である。
他方で4つのモデルのうち、CO2を削減できる結果も出ている。①市場参入の制限②立地制限③炭素税の引上げ、による3つのモデル分析では、程度の差はあるがいずれもCO2排出量の減少が見込まれる結果となった。
この結論は、世界最大のエネルギー消費国である中国が、なんらかの政策的介入を行わなければ、ビットコインやブロックチェーンによるCO2排出が、経済発展をも妨げる大きな障害となることを示唆している。
現在中国では国民経済や炭素排出の計算を行う時に、ビットコインやブロックチェーンの関連活動を独立項目として扱っていない。こうした従来のやり方が、政策担当者のビットコイン業界への監視や効果的な政策決定を難しくしていると前出の研究者たちは考えている。
(財新記者:康佳)
※原文の配信は4月10日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら