中国の新エネルギー車市場は、2021年1~3月期に急激な成長を遂げた。現地の自動車メーカーの業界団体である中国汽車工業協会(略称:中汽協)が4月9日に発表したデータによれば、1~3月期の新エネルギー車の累計販売台数は51万5000台で前年同期比3.8倍、直前の2020年10~12月期と比較すると23%増だった。
(訳注:新エネルギー自動車は中国独自の定義で、電気自動車[EV]、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
新エネルギー車は2019年6月に政府から補助金が大幅にカットされ、EV市場も不調に転じ、停滞期が1年近く続いていた。ところが、2020年7月に入り新エネルギー車の販売は一転して急増し始め、以降毎月増え続けている。
こうした背景について、中汽協の副総工程師の許海東氏は「新エネルギー車の市場が変化した主な原因は、個人による購入の増加にある。個人購入の増加が製品の質を押し上げ、(メーカー側も)消費者のニーズに応えられるようになってきた」と語る。
個人購入が市場回復を下支え
アメリカの経済シンクタンクのマッキンゼー・グローバル・ インスティテュート(アメリカのコンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーの研究部門)のレポートによると、中国の消費者の新エネルギー車に対する不安感(抵抗感)は減少傾向にあり、「次の自動車購入時にはEV車を検討する」と答えた人の割合が4年前の20%から2021年には63%まで増加した。
これまでは新エネルギー車の用途はネット予約ハイヤー、タクシーなどの営業車が中心だったが、消費者心理の変化も受け、2020年に入り個人による購入は明らかに増加している。
現在、中国における新エネルギー車の販売は、高価格と低価格で二極化している。自動車販売会社の業界団体の中国乗用車市場信息聯席会が4月9日に発表したデータによれば、テスラの2021年3月の販売台数は3万5400台で、月当たり販売量の記録を塗り替えた。
一方で中国の自動車大手、上汽通用五菱汽車が製造する超小型EV「宏光MINI EV」も、同月販売台数が3万9700台に達し、国内で唯一テスラに拮抗する車種となった。(詳細は、中国の「44万円EV」が農村市場で快走する背景を参照)
新エネルギー車だけでなく、中国の自動車市場は全体的に顕著な回復傾向が見られる。中汽協のデータによれば1~3月期の自動車販売台数は前年同期比75.6%増の648万台を記録した。しかし乗用車の販売台数は新型コロナウイルス感染症流行前の2019年の1~3月期に比べて3.6%減少しており、許海東氏は「国内自動車市場はまだコロナ前のレベルまで回復していない」とも指摘する。
(財新記者:劉雨錕)
※原文の配信は4月9日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら