中国が7月16日に発表した2020年4-6月期の実質GDP(国内総生産)成長率は前年同期比3.2%のプラスだった。中国の調査報道メディア「財新」が7月10日までにまとめた現地エコノミストによる予想では、平均が2.6%増、中央値で2.9%増。ふたを開けてみると、市場のコンセンサス予想を上回る好調ぶりだったことになる。欧米や日本で一般的に使われている前期比、つまり1-3月期との比較では11.5%増だ。
年初から本格化した新型コロナウイルスの感染拡大により、中国では湖北省武漢市を1月23日から4月7日までロックダウン(都市封鎖)するなど経済活動が大きく制限された。これを受けて1-3月期の成長率は6.8%減と、未曾有の落ち込みを示した。4-6月期のプラスがあっても上半期トータルでみれば1.6%減だが、新型コロナの感染源であることを思えば傷は浅いといえるだろう。
IMF(国際通貨基金)が6月にまとめた最新の世界経済見通しでは今年の世界経済は4.9%のマイナス成長とされる一方で、中国は1.0%のプラス成長だ。主要国のなかで唯一のプラス予想だが、4-6月期の3.2%成長でその達成へ一歩を進めた。中国は香港への国家安全維持法導入をめぐって米国との対立を激化させている。そのなかで自国の経済の安定ぶりを世界に示す何よりの機会となったはずだ。
上海株はいきなり全面安
7月16日は中国の半導体受託生産最大手である中芯国際集成電路製造(SMIC)が上海のハイテク企業向け市場「科創板」に上場するタイミングでもあった。調達額は500億元(7650億円)という、中国では10年ぶりの大型上場である。同社は米国での上場を昨年廃止して「科創板」に乗り換えた。米国のファーウェイ向け禁輸措置を受け、半導体国産化を進めざるをえない中国にとってSMICは虎の子的な存在だ。
こうしたイベントにGDPの好結果が重なったにもかかわらず、当日の上海株式市場は全面安となった。代表的な株価指数である上海総合指数の終値は3210.1ポイントと、前日比で4.5%下落。7月9日には上海総合指数の終値は3450.59と年初来最高を記録し、6月末と比較して15.6%も上昇していた。16日には、そこからの下落に拍車がかかった。
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