カネ余りからのバブルを防ぐには、ファンダメンタルズの改善の確かさが問われる。3.2%という4-6月期成長率の水準は市場の予想を上回ったが、問題はその中身だ。
実は、財新がまとめたコンセンサス予想に対して、消費には出遅れ感がある。4-6月期成長率ともに発表された経済データを点検すると、6月の工業生産は4.8%増(コンセンサス予想の平均は前値同期比4.7%増)、小売売上高は1.8%減(同0.3%減)、固定資産投資は1-6月累計で3.1%減(同3.3%減)となっている。供給側が予想よりも回復しているのに比べて、需要側の回復は予想を下回っている。
先行して発表された貿易統計では輸出がドル建てで0.5%増(同3.3%減)と、大方の予想を裏切ってプラスになった。全体でみると輸出の上振れに助けられたV字回復であり、消費はむしろ下振れしている。
政府と国有企業による投資が支える
消費では、サービス部門の苦戦が際立つ。飲食店の売り上げが6月も前年同月比15.2%減と大幅なマイナスを続けている。6月18日には電子商取引大手のアリババや京東(JDドットコム)によって恒例の大規模セールが行われており、それを差し引くと消費の基調はかなり弱いと思われる。地方によっては消費を促進するクーポンの配布などでテコ入れしているが、効果の広がりは限定的だ。
輸出に関しては、新型コロナ関連の製品が牽引車となったようだ。6月の輸出では織物、プラスチック、医療機器といった製品の好調が目立つが、その多くが防疫関連だとみられる。
いちばん安定しているのは固定資産投資だ。前月比でみると2月に19.5%減になった後は3月6.2%増、4月6.1%増、5月5.9%増、6月5.9%増と着実に増えている。しかし1-6月に投資の内訳をみると国有企業が2.1%増なのに対して民間企業はマイナス7.3%と大きな差がついており、今後の持続性には課題を残している。
5月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で承認された地方政府特別債3兆7500億元の発行枠のうち2兆2400億元が実行され、すでに1.9兆元がインフラ投資のために支出済みと報告された。基本的に9月末までに残額も実行し、事業を行う。当面は政府による景気下支えが不可欠になりそうだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら