トランプ「断交覚悟」でファーウェイ叩きの暴走

新型コロナに焦り米中デカップリングを強行

トランプ氏は中国との断交を示唆、サプライチェーンをすべて米国に戻すと極言(写真:ロイター)

「中国との関係を断つこともありうる」というトランプ大統領の発言は世界を驚かせた。5月14日の米テレビ局とのインタビューで飛び出したコメントだ。根拠は定かでないが、「中国との関係を断てば、5000億ドル(約54兆円)を節約できる」とも述べた。

このときトランプ氏は、ほかにも驚くべきことを言っている。「世界のほんの一部が悪くなると、(その影響で)全体がめちゃくちゃになってしまうようなサプライチェーンはバカげている。そんなサプライチェーンを持つべきではない。全部アメリカで作るべきだ」。

新型コロナウイルスをめぐって激化する米中対立が、世界のサプライチェーンを塗り替えようとしている。新型コロナ感染による死者が9万人に迫るアメリカでは、感染源である中国への感情が極めて悪化した。感染拡大を防げなかったことが批判され、11月に予定される大統領選挙での再選が危ぶまれるトランプ氏は中国叩きで得点をあげようと必死だ。そのためには特定企業の狙い撃ちも辞さない。最大の標的が中国の通信機器大手、ファーウェイ(華為技術)とその取引先だ。

トランプに迫られ台湾企業が巨額投資

5月15日、半導体受託生産の世界トップである台湾積体電路製造(TSMC)は米アリゾナ州に工場を建設すると発表した。120億ドル(約1兆3000億円)の巨費を投じて2024年から最先端の5ナノ半導体の生産を開始する。トランプ大統領の発言と平仄を合わせるように、ウィルバー・ロス商務長官は15日、「TSMCが自社のサプライチェーンを(アリゾナに)持ってくることを期待している」と語った。

半導体受託生産の世界シェアで5割を握るTSMCに、トランプ政権はかねてから強い圧力をかけてきた。ファーウェイに半導体を供給しているためだ。

アメリカは安全保障や外交政策上の懸念があるとして、自国のソフトウェア・技術を一定以上使用する企業にファーウェイとの取引を2019年5月から事実上禁止してきた。アメリカ以外の国も規制の対象だが、アメリカ原産品やアメリカ原産のソフトウェアの合計金額が再輸出金額の25%以下の場合は対象から外れる。

そのため、ファーウェイがTSMCの半導体を調達することは可能だった。これに不満を持つトランプ政権がファーウェイへの半導体供給をより厳しく制限する新たな措置を準備しているとの報道が昨年暮れ以降、断続的に流れてきた。

TSMCにすれば、アップルをはじめとするアメリカ企業と同様にファーウェイも重要な顧客だ。理不尽な横車というしかないが、「トランプ対策」として米国で2番目の工場建設を決断せざるを得なくなった。

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