原油暴落で窮地に立つ米シェール企業の耐久力

負債1兆円企業が破産法11条適用申請を検討

コロナ禍による原油価格暴落によって、北米のシェールガス油井の多くは稼働が止まっている(写真:ロイター)

新型コロナ危機の影響で原油価格の低迷が続く中、1兆円を超す負債を抱えたアメリカの先駆的シェール企業が経営破綻の瀬戸際に追い込まれている。その企業の名は、チェサピーク・エナジー。

ニューヨーク証券取引所に上場する同社は5月11日、米証券取引委員会(SEC)に提出した今年第1四半期(1~3月期)の業績報告書で、純損益が83億ドル(1ドル=約107円)の赤字となり、39億ドルの債務超過に陥ったことを公表した。

そして、連邦破産法11条に基づく会社更生手続きを含めた債務再編策をアドバイザーと協議していることを明らかにした。「このまま原油と天然ガス価格の低迷が続けば、2020年第4四半期にはデフォルト(債務不履行)となる可能性がある」と報告書で述べている。

「シェール革命」の立役者だったチェサピーク

同社は1989年に設立されたシェールガス開発の草分け的存在で、アメリカにおける「シェール革命」の立役者の1社と称されていた。創業者のオーブリー・マクレンドン元CEO(2016年に事故死)は、1980年代に当時大手が見向きもしなかったシェール(頁岩)層に注目し、「フラッキング(水圧破砕法)」という採掘方法を積極導入。

1983年に試掘会社として立ち上げたチェサピークを全米トップ級の天然ガス開発企業に押し上げた。

ガス価格低迷を受けシェールオイル開発も強化したが、油価が20ドル台まで急落した2015~2016年に経営難に陥り、その後も過大な債務が重荷となって業績低迷が続いていた。今年に入ってからのOPEC(石油輸出国機構)プラス(OPEC加盟国とロシアなど非加盟国の産油国の集まり)の減産合意決裂とコロナ危機による油価暴落はダメ押し的な打撃となった。

第1四半期の大幅赤字は、テキサス州イーグルフォード地区など各地に持つシェールオイルやシェールガスの保有資産に対する減損損失(85億ドル)の影響が大きい。3月末現在の負債総額は長期債務(償還1年以内含む)96億ドルを含め117億ドルに及ぶ。

コロナ危機発生後に破綻したアメリカの主な石油・ガス開発の上場企業としては、4月1日に破産法11条適用を申請したホワイティング・ペトロリアムが最初で、その負債総額は36億ドルだった。その後、海洋石油・ガス掘削請負会社のダイヤモンド・オフショア・ドリリング(負債26億ドル)が4月27日に破産法11条適用を申請している。

また、第1四半期決算発表を6月中旬まで延期したカリフォルニア・リソーシズは、5月11日にSECに提出した報告書で「現在検討中の債務再編がうまくいかなければ、継続企業の前提に重大な疑義が生じる」と注記したが、その負債総額は73億ドル。同様に経営難にあり決算発表を延期したオアシス・ペトロリアムの負債は39億ドル。

チェサピークはそれらを上回る規模であることもあって市場の注目度は高い。直近の時価総額は1.4億ドルと、過去1年で約50分の1となり、社債の流通価格も額面の5%前後で取引されている。銀行の融資枠も残り少なくなり、事実上、新たな資金調達の道は閉ざされている。

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