「新型肺炎対策」が中国で大きく出遅れた事情

習近平総書記の責任論押さえ込みに躍起

新型肺炎が拡大する武漢市を視察した李克強首相(2020年1月27日、写真:新華社/アフロ)

新型肺炎の震源地である湖北省武漢市が封鎖されてから10日後の2月2日。春節(旧正月)の長期休暇明けを待っていたかのように、浙江省温州市が新たに封鎖された。

「温州みかん」由来の土地とあって日本人にもなじみが深い。武漢と温州は900キロ近く離れているが、その街を封鎖せねばならないほど感染が広がっており、深刻な段階にあることがうかがえる。

武漢市当局が速やかに人から人への感染を認め、対策をとっていれば、ここまで感染は拡大しなかったという批判が中国の内外で高まっている。

武漢市トップがテレビで「公開謝罪」

1月31日には国営中央テレビ(CCTV)に出演した武漢市のナンバーワン、共産党委員会書記である馬国強氏が、名物キャスターである白岩松氏の追及にさらされた。

マスクをつけて現れた馬氏は「もう少し早く厳しい措置をとっていれば、全国各地への影響も小さかったし、党中央や国務院(内閣)にここまで心配をかけずにすんだ」とひたすら謝罪。「習近平総書記、党中央が武漢の人民を忘れず、いつも心にかけ、愛してくださることこそ何にも勝る慰めだ」と結んだ。

地方政府が不手際をしでかした場合、行政のトップ(武漢市の場合は市長)が責任をとらされ、その上に立つ党書記は表に出てこないことが一般的だ。中国のすべてを指導する党は「全能無謬」の存在で、失敗はあってはならないからだろう。

馬氏は2018年に、世界2位の製鉄企業である宝武鋼鉄集団のトップから武漢市書記に転じた大物である。湖北省の党副書記も兼任している。彼が公開謝罪に追い込まれたのは、武漢市長による「問題発言」の影響が大きかったからと思われる。

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