中国では新型コロナウイルスの局地的流行の頻発に歯止めがかからず、製造業の景況感の重石になっている。11月1日に発表された10月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は49.2を記録。前月(48.1)より1.1ポイント上昇したものの、好不況の判断の目安である50を3カ月連続で割り込んだ。
なお、前日に発表された中国国家統計局の調査に基づく製造業PMIは同じく49.2で、9月(50.1)より0.9ポイント低下した。2つのPMIは一方が景況感の回復傾向、もう一方が悪化傾向を示した格好だが、指数はいずれも50を下回っており、経営環境は総じて厳しいと言える。
10月の製造業の事業活動は供給側でも需要側でも収縮が続いた。供給側の指標である生産指数は拡大基調と縮小基調のボーダーラインを2カ月連続で、需要側の指標である新規受注指数は3カ月連続で割り込み、とくに消費財と投資財の需要低迷が目立った。
再び高まるコスト上昇圧力
供給と需要が弱含むなか、製造業の雇用は厳しさを増している。10月の雇用指数は7カ月連続でボーダーラインを割り込み、直近15カ月のうち(2022年3月を除く)14カ月が縮小基調となっている。多くの企業は事業規模の適正化やコストダウンを優先しており、社員が離職しても後任の補充に消極的だ。
製造業の仕入れ価格の指標である購買価格指数は、前月まで2カ月連続でボーダーラインを下回った後、10月は再び上昇基調に転じた。背景には原材料の国際価格の値上がりがあり、企業へのコスト上昇圧力が再び高まっている。
一方、需要が低迷するなかで企業は販売促進のための値下げを余儀なくされており、コスト上昇の転嫁は進んでいない。販売価格の指標である工場出荷価格指数は、10月は6カ月連続の下落基調を記録した。
「最近発表された2022年7〜9月期の経済データはアナリストの事前予想を上回り、中国景気が回復方向に転じたことを示唆した。とはいえ、各地で頻発する新型コロナの流行が、供給と需要の両面から事業活動の足を引っ張り続けている。景気の回復基調は強固とは言えない」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:程思煒)
※原文の配信は11月1日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら