中国と欧米を結ぶ国際コンテナ航路の運賃が急落している。上海航運交易所が発表する上海輸出コンテナ運賃指数(SCFI)は10月14日時点で1814ポイントと、2022年初めの水準から7割も下落。例年なら10月はコンテナ業界の繁忙期であることを考えると、尋常ではない落ち込みぶりだ。
航路別で運賃下落が最も大きいのは、上海と北アメリカの西海岸を結ぶ路線だ。10月中旬時点の運賃は40フィートコンテナ1本当たり2097ドル(約31万円)と、2月につけた最高値の8117ドル(約119万円)から8割近く下落した。上海とヨーロッパを結ぶ路線でも、運賃はピークから7割近く落ち込んでいる。
運賃急落の直接的な原因は、欧米市場の需要低迷にともなう輸送量の減少だ。コンテナ船の運航収支はすでに損益分岐点を割り込んでおり、海運会社は大幅な減便による運賃下支えを余儀なくされている。
予定運行便数の2割運休
海運情報サービスの容易船期のデータによれば、中国および東南アジアから北アメリカおよびヨーロッパに向かうコンテナ航路では、9月から10月にかけて延べ254便が運休。これは元々の予定運行便数の22%にあたる。行き先別では北アメリカの西海岸行きが28%減、同東海岸行きが21%減、ヨーロッパ行きが17%減だった。
海運業界の内情に詳しいベテラン関係者によれば、中国と北アメリカ西海岸を結ぶ航路の運賃が40フィートコンテナ1本当たり4000ドル(約59万円)に下がった時点では、スケールメリットが取れる大手海運会社はまだ利益を確保できていた。しかし運賃が2000ドル(約29万円)まで落ち込むと、ほぼすべての海運会社が赤字に転落するという。
「2022年の7~9月期は例年の繁忙期が消失しただけでなく、逆に輸送量が減ってしまった。運賃の値崩れが続くなか、われわれは(減便という)自衛策を講ずるほかに手立てがない」
あるコンテナ海運会社の社内アナリストは、そうため息をついた。
(財新記者:李蓉茜)
※原文の配信は10月14日
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