中国の国有海運最大手、中国遠洋海運集団(コスコ・シッピング・グループ)の傘下の造船会社が、グループ内の海運会社から積載量2万3000TEU(20フィートコンテナ換算)の大型コンテナ船15隻の建造を受注したことが、財新記者の取材で明らかになった。
ノルウェーの海事専門メディア、トレードウィンズの報道によれば、これらのコンテナ船の建造費は1隻当たり1億7000万~2億3000万ドル(約244億円~330億円)、契約総額は29億1000万ドル(約4169億円)とされ、2025年から順次引き渡される予定だという。
発注者である中遠海運控股(コスコ・シッピング・ホールディングス)は世界第4位のコンテナ海運会社であり、現在保有するコンテナ船は464隻、輸送能力は287万2500TEUに上る。
同社は8月31日に開示した2022年1~6月期の半期決算で、647億元(約1兆3225億円)の巨額の純利益を計上した。新型コロナウイルスの世界的大流行(による港湾物流の混乱や人手不足)の影響でコンテナ運賃が高騰し、海運会社に莫大な利益をもたらしたためだと、ある業界関係者は解説する。
そんななか、世界の海運大手は業務拡大に向けた布石と税金対策の観点から、新造船の大量発注に走っている。その意味で、中遠海運控股の今回の発注も予想の範囲内だと、この関係者は話す。
長期契約運賃の破棄が相次ぐ
だが、新造船の大量発注はことによると、海運会社の将来の重荷になるかもしれない。というのも、つい最近まで過去最高水準に高騰していたコンテナ運賃が、ここにきて急落に転じたからだ。
財新記者の取材に応じた複数の業界関係者によれば、コンテナ運賃のスポット価格はすでに長期契約運賃を下回り、荷主が長期契約を破棄してスポット契約に切り替える動きが相次いでいるという。
上海航運交易所が発表する上海輸出コンテナ運賃指数(SCFI)は、9月16日時点で2312.65ポイントと、わずか1週間で9.74%急落。年初時点と比べて半分以下の水準に落ち込んだ。
具体的な航路別では、上海発アメリカ西海岸行きの運賃が1TEU当たり3050ドル(約43万7000円)と、年初から60%の下落。アメリカ東海岸行きが同7176ドル(約102万8170円)と、同38%の下落。ヨーロッパ行きが同3545ドル(約50万7924円)と、同54%の下落となっている。
(財新記者:李蓉茜、包志明)
※原文の配信は9月20日
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