中国の製造業の景況感が振るわない。9月30日に発表された9月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は48.1と、前月(49.5)より1.4ポイント低下。好不況の判断の目安である50を2カ月連続で割り込んだ。
背景には、中国各地で新型コロナウイルスの局地的流行がやまず、厳しい防疫対策が経済活動に影響し続けていることがある。
製造業の9月の事業活動は供給側と需要側がそろって収縮。供給側の指標である生産指数は拡大基調と縮小基調のボーダーラインを3カ月ぶりに割り込んだ。また、需要側の指標である新規受注指数は2カ月連続の縮小基調を記録した。
調査対象企業からは、新型コロナの流行および防疫対策が「生産の段取りやサプライチェーンの流れを阻害し、需要後退も招いている」との声が多数寄せられた。
ただ、同じく9月30日に発表された中国国家統計局の調査に基づく製造業PMIは50.1を記録。8月(49.4)より0.7ポイント上昇し、目安の50を回復した。2つのPMIが相反する動きを示したことは、調査対象企業の違いなどによって景況感の濃淡が大きい可能性を示唆している。
高まる景気の下押し圧力
供給と需要の同時縮小は、製造業の雇用にさらなる冷や水を浴びせている。多くの企業が需要後退に伴って新規採用を減らしており、9月の雇用指数は2020年5月以降の最低値に落ち込んだ。
製造業の仕入れ価格の指標である購買価格指数は、鋼材など原材料の市場価格下落を反映して2カ月連続でボーダーラインを割り込み、2016年2月以降の最低値となった。
原材料コストの低下と顧客の引き合い減少を受け、多くの企業が販売促進のために製品を値下げしている。その結果、製造業の販売価格の指標である工場出荷価格指数は2016年以降の最低水準を記録した。
「新型コロナの局地的流行は9月も中国各地で頻発した。地域によっては新規感染者数が8月より増加し、製造業の生産活動と需要を圧迫している。景気回復の基盤の脆弱さが鮮明になるなか、下押し圧力がさらに高まっている」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そう懸念を示す。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は9月30日
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