中国の製造業の景況感が再び悪化に転じている。新型コロナウイルスの局地的流行が反復し続けているところへ、猛暑と干ばつの影響(で水力発電所の出力が低下したこと)による電力不足が追い打ちをかけた格好だ。
9月1日に発表された8月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は49.5と、前月(50.4)より0.9ポイント低下。好不況の判断の目安とされる50を3カ月ぶりに割り込んだ。
製造業の8月の事業活動は、供給側が拡大基調を維持した一方、需要側は縮小基調に転じた。供給側の指標である生産指数は、新型コロナの流行状況が落ち着きを見せた6月から3カ月連続の拡大基調を記録したものの、拡大幅は月を追うごとに縮小している。
調査対象企業の一部からは、「電力不足による停電や(行政が指示する)一時操業停止で、生産活動に影響が出ている」との声が寄せられた。
需要側の指標である新規受注指数は、拡大基調と縮小基調のボーダーラインを3カ月ぶりに割り込んだ。調査対象企業によれば、猛暑や電力逼迫、新型コロナの局地的流行の反復、グローバル景気の後退懸念などの影響が重なり、内需も外需もそろって弱含んでいるという。
原材料インフレが2年ぶり緩和
景況感の悪化を背景に、製造業の雇用は厳しい状況が続く。8月の雇用指数は前月よりわずかに改善したが、直近13カ月のうち(2022年3月を除く)12カ月にわたってボーダーラインを割り込んでいる。
そんななか、数少ない朗報と言えるのが原材料インフレの緩和だ。金属や化学製品の市場価格の下落を受け、製造業の仕入れ価格の指標である購買価格指数は前月までの26カ月連続の上昇基調に終止符が打たれ、8月は下落基調に転じた。
原材料価格の下落により、製造業のコスト上昇圧力が和らぐとともに、一部の企業には販売拡大のための値下げの余地が生じた。そうした状況を反映し、販売価格の指標である工場出荷価格指数は前月よりいくぶん下落。ボーダーラインを4カ月連続で下回った。
「中国経済は2022年前半の新型コロナ流行拡大の打撃から回復する途上にある。ところが、局地的なコロナ流行の反復と猛暑の影響がその足を引っ張っている。景気回復の基調は盤石ではなく、なかでも厳しい雇用情勢(の長期化)は重大な懸念材料だ」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は9月1日
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