「中国の人口増加のペースは顕著に減速しており、第14次5カ年計画(2021~2025年)の期間中に減少に転じるだろう」。7月21日、中国国家衛生健康委員会人口家庭司(訳注:「司」は日本の中央省庁の「局」に相当)の楊文庄司長は、中国人口学会の年次総会でそう発言した。
これに先立つ7月11日、国際連合は2022年版の世界人口推計を発表。それによれば、中国の総人口は早ければ2023年に減少に転じ、2024年には総人口に占める60歳以上の比率が20.53%に上昇する。
南開大学経済学院人口・発展研究所の原新教授は、国連のデータの分析に基づき、冒頭の年次総会で次のような見解を述べた。
「人口が1億人を超える国々のなかで、中国は日本に続いて人口減少時代に突入する2番目の国となる。人口の減少と社会の高齢化は、低い出生率が長年にわたって続いたことによる必然の帰結だ。間もなく始まる人口減少時代は長期間続くことになるだろう」
農村部の高齢化が先に進行
前出の国連予想は、中国の(女性1人が生涯で産む子どもの数を示す)合計特殊出生率を1.46前後に設定した中位シナリオに基づいている。出生率が1.0未満に落ち込む低位シナリオでは、総人口に占める高齢者の比率がさらに高まる予想となっている。
留意すべきなのは、中国では農村部の高齢化が都市部に先行して進んでおり、その度合いもより深刻であることだ。2020年に実施された国勢調査では、農村人口に占める高齢者の比率はすでに24%に達しており、都市部より8%も高かった。
「中国の農村部では、社会の高齢化に対応するためのインフラ整備や経済的備えが都市部に比べて大きく劣っている。そんななかで高齢化の荒波が先に押し寄せており、農村部が抱える(所得格差や教育格差などの)構造問題の解決や経済振興の推進が厳しい試練に直面しかねない」。原教授はそう警鐘を鳴らした。
(財新記者:彭楽怡、黄蕙昭)
※原文の配信は7月22日
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