中国のサービス業の景況感が明るさを増している。春先から5月末にかけて中国各地で実施された新型コロナウイルスの厳しい防疫措置が緩和され、経済活動の正常化が進んだことが背景だ。
8月3日に発表された7月の財新中国サービス業経営活動指数(サービス業PMI)は55.5と、前月(54.5)より1.0ポイント上昇。好不況の目安とされる50を2カ月連続で上回り、2021年5月以降の最高値を記録した。
それとは対照的に、2日前の8月1日に発表された7月の財新中国製造業PMIは50.4と、前月(51.7)より1.3ポイント低下。製造業の景気回復はスローダウンしており、サービス業と明暗が分かれた。総合的に見れば、中国経済全体の先行きは予断を許さないと言えそうだ。
サービス業の7月の事業活動は、供給側と需要側がそろって拡大した。供給側の動向を示す経営活動指数は15カ月ぶり、需要側の動向を示す新規受注指数は9カ月ぶりの高水準を記録。調査対象企業からは、「防疫措置の緩和でサービス提供を増やせるようになり、顧客からの引き合いが回復している」との声が数多く寄せられた。
コロナ再流行への根強い不安も
景況感の改善が続いているにもかかわらず、雇用には回復の兆しがまだ見られない。サービス業の7月の雇用指数は、拡大基調と縮小基調のボーダーラインを7カ月連続で割り込んだ。企業の多くが、主にコスト削減のために雇用を絞り続けているのが実態だ。
原材料や燃料、人件費などの値上がりを背景に、サービス業の(仕入れ価格の指標である)投入価格指数は7月は4カ月ぶりの上昇に転じた。(販売価格の指標である)サービス提供価格指数は3カ月連続でボーダーラインを上回ったが、7月の上昇幅はわずかだった。
事業環境の好転とともに、経営者は将来への自信を取り戻しつつある。サービス企業の経営者の向こう12カ月間の楽観度を示す指数は、7月は2021年12月以降の最高値を記録した。
経営者の多くは、新型コロナの流行がやがて完全に収束し、サービス需要がさらに増加することを期待している。だが同時に、新型コロナの再流行によって事業の混乱が繰り返されることへの根強い不安も残っている。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は8月3日
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