中国の電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)は8月4日、2022年4~6月期の決算を発表した。それによれば、同四半期の売上高は2055億5500万元(約4兆645億円)と、前年同期の2057億4000万元(約4兆681億円)をわずかに下回った。
同社の四半期ベースの売上高が前年同期比マイナスを記録したのは、2014年の上場以降で初めてだ。4~6月期は新型コロナウイルスの流行が中国各地で相次ぎ、ECサイトで販売される商品の生産や物流が混乱した影響が響いた。
コロナ禍の影響を除いても、同社の業績は2021年10~12月期を境に減速が続いている。四半期ベースの売上高の伸び率を見ると、2021年7~9月期は前年同期比29%だったが、同年10~12月期は同10%、2022年1~3月期は同9%に低下していた。
2022年4~6月期の純利益は227億3900万元(約4496億円)と、前年同期の半分に落ち込んだ。最大の要因は(コロナ禍の影響で)主力ECサイトの淘宝(タオバオ)の流通取引総額(GMV)が減少し、注文のキャンセルも増加したため、アリババにとって最大の収益源である顧客管理収入(販売手数料収入と広告収入の合計)が減少したことだ。
さらに、(投資先の企業価値低下で)持分法に基づく投資損益として34億8000万元(約688億円)の損失を計上したことも純利益を押し下げた。
中国国内のユーザー規模は追求せず
4~6月期に重なった新型コロナの流行は、上海や北京などの(厳格な防疫措置が実施された)大都市の市民生活や経済に深刻な打撃をもたらした。なかでも4月と5月は商品の生産や物流が大きく混乱し、アリババの中核事業を直撃した。
「物流の混乱が(商品配送の)ボトルネックになり、主力ECサイトで発注のキャンセルが続出した。その影響で販売手数料収入と広告収入が目減りし、4~6月期の顧客管理収入は前年同期比10%減の722億6300万元(約1兆4289億円)にとどまった」
アリババのCFO(最高財務責任者)を務める徐宏氏は、決算説明会でそう説明した。また、同社CEO(最高経営責任者)の張勇氏は、同じく決算説明会で今後の経営戦略についてこう述べた。
「わが社は中国国内の10億人のユーザーにサービスを提供するという目標を、2022年3月期に達成した。これからは国内ユーザーの絶対数の拡大は追求せず、属性が異なるさまざまな消費者群の異なる消費需要への対応に、より戦略をフォーカスしてゆく」
(財新記者:沈欣悦)
※原文の配信は8月5日
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