中国の半導体受託製造(ファウンドリー)最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)は8月11日、2022年4~6月期の会計監査前の業績を発表した。それによれば、同四半期の売上高は19億300万ドル(約2527億円)と前年同期比41.6%の大幅増収を達成。それとは対照的に、純利益は5億1400万ドル(約683億円)と同25.2%の減益となった。
SMICの説明によれば、今回の減益は2021年4~6月期に子会社の売却益2億3100万ドル(約307億円)を計上していたため、比較対象の数字が嵩上げされていた影響が大きいという。加えて、研究開発費が前年同期の3割増しの1億8700万ドル(約248億円)、一般管理費が同2.3倍の1億1900万ドル(約158億円)に膨らんだことも純利益を押し下げた。
研究開発費と一般管理費の増加についてSMICは、4~6月期は新工場のテスト操業に伴う費用や、新型コロナウイルスの防疫対策コストがかさんだことを要因として挙げた。
売上高に占める製品分野別の比率を見ると、4~6月期はスマートフォン向けが25.4%で最大だったが、前年同期比では6.2ポイント縮小した。2番目はコンシューマー向け電子機器の23.8%で、同1.3ポイント低下。3番目のスマート家電は16.2%と、同3.8ポイント上昇した。さらに「その他」の製品分野が34.6%を占め、同3.7ポイント上昇したのが目立った。
スマホ低迷の影響が増幅して波及
「製品分野ごとの市場に構造的な変化が生じている。スマホ向けの半導体は(最終製品の販売がスマホメーカーの計画を下回っているため)在庫の消化が終わっておらず、コンシューマー向け電子機器の需要も弱い。その一方、車載機器やクリーンエネルギー、工業用制御システム向けなどの需要は引き続き堅調だ」
SMICの共同CEO(経営最高責任者)を務める趙海軍氏は、8月12日に開催した業績説明会でそう述べた。
趙氏によれば、SMICの経営は目下、グローバル経済の景気循環の下降局面入りとシリコンサイクル(半導体業界の景気循環)の下降局面入りによる負の影響をダブルで受けているという。同氏はスマホを例に挙げて、複雑な実態を次のように説明した。
「スマホメーカーは2022年の販売目標を高めに設定していたが、実績が目標を下回る状況が続き、部品調達を減らしている。それが(スマホ向け半導体を設計する)ファブレス半導体メーカーの在庫増を招き、さらに(実際に半導体を製造する)ファウンドリーの受注に波及しつつある。その過程では(需要を見誤った)影響が何倍にも増幅される」
(訳注:スマホメーカーの高すぎる販売目標に基づいて、ファブレス半導体メーカーはさらに余裕のある供給計画を立てていた。そのため、ファウンドリーの受注見込みが輪をかけて過大になっていたことを、趙氏は示唆したとみられる)
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は8月12日
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