半導体の受託製造(ファウンドリー)で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は7月14日、2022年4~6月期の決算を発表した。それによれば、同四半期の売上高は前年同期比43.5%増の5341億4000万新台湾ドル(約2兆4554億円)と大幅な増益を達成。純利益は同76.4%増の2370億3000万新台湾ドル(約1兆896億円)と、四半期ベースの過去最高益をまたも更新した。
事業分野別の売上高は、すべてのセグメントで増収を記録した。なかでも高性能コンピューティング事業の売上高は、直前の1~3月期より13%増加。総売上高の43%を占め、2四半期連続で最大のセグメントとなった。
IoT(モノのインターネット)および車載用半導体事業の売上高も、1~3月期比14%増と2ケタ成長を達成。一方、かつての最大セグメントだったスマートフォン向け事業の売上高は同3%の増加にとどまり、総売上高に占める比率は38%に低下した。
このようにTSMCの業績は絶好調だが、半導体業界全体を俯瞰すると、2022年に入ってコンシューマー・エレクトロニクス分野を中心に逆風が吹き始めている。市場調査会社のカウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチのデータによれば、2022年1~3月期の全世界のパソコン出荷台数は前年同期比4.3%減少、スマートフォンも同8%減少した。
逆風下でも強気の業績見通し
「半導体業界は典型的なシリコンサイクルの下降局面に差し掛かりつつある。需給バランスの正常化には数四半期が必要で、在庫調整は2023年上半期まで続くかもしれない」。TSMCの総裁(社長に相当)を務める魏哲家氏は、決算説明会でそう厳しい見方を示した。
にもかかわらず、TSMCは今後の業績について強気の見通しを立てている。同社が開示した2022年7~9月期の売上高の予想レンジは198億~206億ドル(約2兆7168億~2兆8266億円)と、下限値でもアナリスト予想の平均値の192億1000万ドル(約2兆6358億円)を上回る。
その裏付けについて、魏氏は次のように説明した。
「コンシューマー・エレクトロニクス分野は弱含んでいるものの、データセンターや車載用などの需要は底堅い。また、(半導体を組み込んだ)最終製品のメーカーは在庫調整の途上にあるが、顧客の需要全体では、TSMCの供給能力を依然として上回っている。わが社の生産能力は2022年を通じて逼迫が続くだろう」
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は7月14日
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