9月13日、インターネット上に北京市政府の国有資産監督管理委員会(北京国資委)が出したある通知の画像が流出。それをきっかけに、中国の民営コングロマリット、復星集団(フォースン・グループ)の関連上場銘柄の株価が急落する一幕があった。
問題の通知は、北京国資委が管轄下にある国有企業に対し、復星集団との取引状況を確認し、そのリスクを検討・評価して報告するよう求めたものだった。その理由について北京国資委は、「復星集団が最近、大量の資産売却を迫られていることに対応した」ものだと明記していた。
復星集団の中核上場会社である復星国際(フォースン・インターナショナル)は、北京国資委の通知について「管轄企業に対する定期的な情報収集であり、わが社を狙い撃ちしたものではない」とのコメントを発表。北京市での事業は正常に運営されているとし、経営不安を否定した。
事情に詳しい関係者によれば、北京国資委の通知は9月8日に発出され、翌9日の午後5時までに報告を上げるよう求められたという。「管轄下の国有企業と復星グループに与えられた時間的余裕はほとんどなかった」と、この関係者は振り返る。
総資産負債比率は危険水域
復星集団は不動産開発、医薬品、観光、小売りなど幅広い事業を手がけている。2021年後半からの不動産不況や、新型コロナウイルスの流行による観光業の不振が続くなか、グループが抱える巨額の債務の負担は重くなる一方だ。
復星国際の決算報告書によれば、2022年6月末時点の同社の負債総額は6511億5700万元(約13兆4121億円)と、2021年末時点の6031億5800万元(約12兆4235億円)から半年間で8%増加。総資産に対する総負債の比率は76.64%と、危険水域と呼べるレベルに達している。
さらに、6月末時点の短期借入金の残高が1236億9200万元(約2兆5477億円)なのに対し、同時点の現預金は1176億5000万元(約2兆4232億円)しかない。短期債務の返済能力に余裕がないのは明らかだ。
財務状況の悪化を緩和するため、復星国際およびグループ企業は1年ほど前から資産の売却を繰り返してきた。
例えば直近では、穀物や冷凍・冷蔵食品向けの物流システムを手がける中糧工程科技が9月9日付の情報開示で、同社の第2位株主で発行済株式の16.39%を保有していた復星集団傘下の投資ファンドが持ち株を売却し、保有比率が6%を下回ったと明らかにした。
香港証券取引所に上場する復星国際の株価は、2021年9月中旬時点では10香港ドル(約182円)前後で推移していた。だが、その後は(北京国資委の通知が流出する前から)下落の一途をたどっており、2022年9月13日の終値は4.90香港ドル(約89円)と1年前の半値に沈んでいる。
(財新記者:包雲紅、包志明)
※原文の配信は9月13日
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