中国社会の高齢化が加速している。最新の予測によれば、全人口に占める60歳以上の高齢者の比率が2025年までに20%を超え、中程度の高齢化社会の水準に達する。さらに、2035年にはこの比率が30%を超え、超高齢化社会に突入する見通しだ。
この最新予測は、中国国務院がまとめた「高齢化対策の強化と推進に関する報告書」のなかで示された。同報告書は8月30日に開催された全国人民代表大会(全人代=国会に相当)の常務委員会会議に提出され、審議に付された。
超高齢化社会の到来が十数年後に迫っているということは、言い換えれば、それまでの間に中国社会が重大な変化に直面することを意味する。労働力の不足、医療費や介護費などの社会保障支出の増加、家庭内での介護負担増加など、避けられないさまざまな問題が深刻さを増すだろう。
低廉な労働力の優位性が消失
それだけではない。これからの中国社会は高齢化の加速と同時に、人口減少の難局にも直面する。
「中国の人口増加のペースは顕著に減速しており、第14次5カ年計画(2021~2025年)の期間中に減少に転じる」。中国国家衛生健康委員会人口家庭司(訳注:「司」は日本の中央省庁の「局」に相当)の楊文庄司長は、7月21日に開催された中国人口学会の年次総会でそう明言した。
人口問題の専門家によれば、高齢化と人口減少の同時進行がもたらす最大の苦難は、労働市場の構造的変化だ。労働力人口の平均年齢上昇と総数減少により、労働市場への人的資源の供給が縮小する。かつて、中国の高度経済成長と国際競争力を下支えした(若くて)低廉な労働力の優位性は、減衰もしくは消失してしまう。
激変の衝撃を和らげるには、過去の常識にとらわれない人的資源の活用が欠かせない。
「相対的に年齢が若い高齢者の再就職を促し、そのポテンシャルを引き出すことは、労働市場の需給逼迫を緩和するとともに、介護の社会的負担を軽減することにつながる」。国家行政学院科学社会主義教研部の向春花教授は、最近発表した論文のなかでそう指摘した。
(財新記者:許雯)
※原文の配信は9月5日
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