中国の航空安全当局が、アメリカの航空機製造大手ボーイングの主力旅客機「B737MAX」の飛行停止に踏み切って3年余り。同型機の中国での運航再開は、時期がいまだに見通せない状況だ。そんななか、ボーイングが中国の航空会社に引き渡す予定だったB737MAXの一部を、他国の航空会社に転売することが明らかになった。
「中国の顧客との関係を維持するため、非常にゆっくりと(転売を)進める。とはいえ永遠に待つことはできない」。ボーイングの最高経営責任者(CEO)を務めるデビッド・カルフーン氏は9月15日、投資銀行大手のモルガン・スタンレー主催のカンファレンスでそう述べた。
カルフーン氏の発言の意図について、ボーイングの中国法人は財新記者の問い合わせに次のようにコメントした。
「中国はボーイングにとって重要な市場の1つだ。事態が進展する時期(訳注:B737MAXの運航再開を指すとみられる)については、米中の地政学的な関係や新型コロナウイルスの感染状況などの(ボーイング自身では決められない)要素に左右されるだろう」
2021年末から進展なし
B737MAXの中国での飛行停止は、2018年10月と2019年3月に相次いで起きた同型機の墜落事故により合計346人の犠牲者を出したことを受けた措置だ。中国の民間航空行政を所管する中国民航局は、2件目の事故の直後に世界に先駆けてB737MAXの運航を停止した。その後、他国の航空安全当局も続々とそれに続いた。
事故の調査結果によれば、墜落の原因は2件とも操縦特性補助システム(MCAS)と呼ばれる飛行制御ソフトウェアの不具合にあった。ボーイングは飛行の安全性を確保するためMCASの改修を行い、各国の航空安全当局に対して(B737MAXの運航再開に向けた)審査を要請した。
その結果、2020年11月にまずアメリカ連邦航空局が飛行停止を解除。現在までに180以上の国が737MAXの運航再開を許可している。
中国でも2021年12月2日、中国民航局が(中国の航空会社が導入済みの)B737MAXに改修後のソフトウェアをインストールして検証することや、操縦マニュアルを改訂して各航空会社に提示することなどをボーイングに指示した。
この時点では、2021年末または2022年初めに運航再開が許可されるとみられていた。だが、そこから進展が見られないまま現在に至っている。
(財新記者:黄栄)
※原文の配信は9月16日
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