中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と国有自動車大手の広州汽車集団(広汽集団)がスマートEV(電気自動車)を共同開発するプロジェクトが、事実上頓挫したことがわかった。ファーウェイに近い関係者が、財新記者の取材に対して事実を明かした。
広汽集団傘下のEVメーカーで、このプロジェクトの主体である広汽埃安新能源汽車(広汽AION)は、「双方がともに(ビジネスを)発展できる妥協点を探るため、交渉を続けている」と、財新記者の問い合わせにコメントした。ファーウェイからは公式なコメントは得られなかった。
1年余り前の2021年7月、広汽集団はファーウェイとの戦略提携に調印。広汽集団のクルマの車台(プラットフォーム)に、ファーウェイのコンピューターや通信システムを組み込み、共同で複数のスマートEVを開発することに合意した。最初のモデルは広汽AIONブランドの大型SUVで、2023年末から量産する計画だった。
ファーウェイと自動車メーカーの提携には(協業の深さに応じて)3つの方式がある。第1は一般的な部品サプライヤーとしての完成車メーカーとの協業、第2はファーウェイが開発や販売に関与する「華為智選(ファーウェイ・スマートセレクション)」方式、第3はファーウェイのスマートEV関連技術をフルセットで搭載する「HI(Huawei Inside)」方式だ。
「ファーウェイの部品は高すぎる」
これらのうち、HI方式の提携先は北京汽車集団傘下の北汽藍谷新能源科技、長安汽車傘下の阿維塔科技(アバター・テクノロジー)、広汽集団傘下の広汽AIONの3社が公表されていた。北汽藍谷とファーウェイの共同開発車「アークフォックス・アルファーS・HIバージョン」は2021年4月の上海モーターショーでお披露目され、2022年7月に納車が始まった。
アバターの第1号モデルの「アバター11」は2022年8月に発売され、12月の納車開始を予定している。それらに比べて、広汽集団とファーウェイの提携は(共同開発車を投入するまでの)スケジュールが遅く、進捗状況もほとんど明かされていなかった。
「ファーウェイ製の部品は品質はよいが、価格が高すぎる。彼らとの提携では、価格交渉の余地が基本的にない」。8月13日、広汽AIONの副総経理(副社長に相当)を務める肖勇氏は、自動車業界のフォーラムでそう苦言を呈した。
事情に詳しい関係者によれば、ファーウェイと広汽AIONはすでにHI方式の提携を中断し、一般的な部品サプライヤーと完成車メーカーの関係に切り替わっている。それゆえ、肖氏はファーウェイに対する不満を公言できるようになったのだと、この関係者は推察している。
(財新記者:安麗敏、黄栄)
※原文の配信は8月23日
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